国土交通省の「第4回 ダムの洪水調節に関する検討会」の書面会議が5月29日に開かれ、会議の配布資料が国土交通省のホームページに掲載されましたので、お知らせします。
2018年7月の西日本豪雨、2019年10月の台風19号(東日本豪雨)では、想定外の豪雨によりいくつかのダムで洪水の最中に緊急放流(異常洪水時防災操作)を行う事態になりました。西日本豪雨では愛媛県を流れる肱川上流の国土交通省の二基のダムの緊急放流後による氾濫で8人の犠牲者が出たため、国土交通省は「ダムの洪水調節に関する検討会」を設置して、緊急放流を回避する対策を検討してきました。今回の第4回が最終で、取りまとめの案が示されています。
★第4回 ダムの洪水調節に関する検討会 配布資料
https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/damchousetsu_kentoukai/dai04kai/index.html
取りまとめ案の概要(資料3)はこちらです。
「取りまとめ案の概要」1ページ、2ページ
昨年の台風19号以降、官邸主導で緊急放流を回避するために洪水前にできるだけ事前放流をしてダムの空き容量を確保する方針が示され、各地のダムで事前放流のための協定が結ばれる動きが地方紙で報道されていますが、ダムの治水容量には限界があるという事実は変わりません。
検討とりまとめ(案)はダムの緊急放流の問題について考えられることを一通り網羅したという印象のものにとどまり、緊急放流の問題を解消する妙案が示されているわけではありません。
関連記事を転載します。
◆2020年6月2日 建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/archives/458171
ー4方式の特徴整理/効果的ダム操作で報告書案/国交省ー
国土交通省は5月29日、「ダムの洪水調節に関する検討会」(委員長・角哲也京都大防災研究所教授)の第4回会合を書面開催し、ダム操作や情報提供の改善に向けた対応の方向性を示す報告書の案を提示した。異常洪水時防災操作は、必要最小放流量方式など4つの新方式について特徴などを整理。ダムで発生が想定される流入波形を設定して検証し、適した方式を個別に検討する必要があるとした。
ダムの操作規則を見直した事例として、水資源機構が管理する淀川水系猪名川の一庫ダムを掲載。見直しに当たって確認すべき事項が必ずしも明らかになっていないため、今後はダム操作規則見直しの確認・留意事項を明確化する。
事前放流については、過去のデータ分析や複雑な計算をしなくても水位低科料を簡易に算出する手法を提示。異常洪水時防災操作を実施する際などの情報提供は、情報の受け手側が発表内容と自らの避難行動の関係性を誤解なく理解できるように、記者発表に説明・解説を付け加える。