7月上旬の球磨川氾濫では、下流の八代市坂本町で堤防に設置されたゲートをが閉鎖できなかったため、球磨川の濁流が市街地に流れ込んだということです。
昨秋の台風19号では、多摩川の下流でこのようなことが起きました。
(参考ページ)⇒「川崎市、昨秋の水害踏まえ、台風シーズンに備えた排水樋管ゲートの短期対策」
◆2020年8月24日 熊本日日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/a789b8f800df7ebd703fc7e02c5c078f39ed672e
ー堤防ゲート閉じず水流入 球磨川氾濫、担当者到着できず 住民は間一髪で避難 八代市坂本町ー
7月の豪雨災害で球磨川の濁流が押し寄せた熊本県八代市坂本町の西鎌瀬地区では、堤防に設置されたゲートから大量の水が流れ込み、住民から国に管理方法の改善を求める声が上がっている。ゲートは水位が上がれば閉められるはずだったが、道路の寸断で担当者が到達できなかった。
問題となったゲートは球磨川第一橋りょう近くにあり、普段は住民が通行できるよう開放されている。ステンレス製で高さ1メートル、幅1メートル、厚さ20センチ程度で、左右に開閉するタイプ。管理する国土交通省八代河川国道事務所の取り扱い要領は、ゲートまで水位が上がる恐れがあるときは、現地に行って担当者が閉鎖すると定めている。
7月4日未明、ゲート横に住む光永淳子さん(62)は、同事務所に電話。「球磨川の水位が上がってきているのでゲートを閉めてほしい」と訴えたが、「担当者に連絡するので待ってください」との返事はあったものの、現地には誰も現れなかったという。
堤防のゲート部分から勢いよく流れ込む球磨川の濁流=7月4日午前(光永了円さん提供)
その間も、増水した川の水は開放されていたゲートから勢いよく流入。淳子さんの夫で住職の了円さん(66)は、母の唯子さん(96)を背負い、腰まで濁流に漬かりながら間一髪で逃げ出した。了円さん家族は近くの国道219号で夜を明かし、翌5日に自衛隊のヘリコプターで救出されたという。
球磨川の水は最終的に堤防を越え、幸い犠牲者は出なかったものの、同地区(全11世帯)をのみ込んだ。
淳子さんは「いざというときに閉められないなら、意味がない」と言い、了円さんも「命からがらの脱出だった。ゲートが閉まれば、もっと余裕を持って逃げ出せたはず。国は管理方法を改善できないのか」と疑問を呈する。
同事務所によると、電話での通報を受けた後、河川巡視を委託する市内の業者に現場へ向かうよう指示したが、豪雨の影響で国道219号は既に通行止めに。別ルートを探したが、道路の浸水と橋りょうの損壊が起きており、現地にたどり着けなかったという。
同事務所は「大雨が予想されるときは、早めにゲートを閉鎖するよう対応を改める。地区の住民とも管理方法を話し合いたい」としている。(高宗亮輔)