長崎県が強行しようとしている石木ダム事業では付け替え道路の工事現場でダムに反対する住民らが900日を超える座り込みを続けています。
長崎県は今年度の予算に石木ダムの本体関連工事費用を計上していますが、ダム本体工事に着手するためには水没する道路の付け替えが必要です。
長崎県は裁判で勝訴したからか強硬姿勢を強めていますが、住民側は日々の座り込みを夕方まで延長し、参加人数を増やすなど“徹底抗戦”の構えをみせています。
◆2020年10月29日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201029/k00/00m/040/161000c
ー反対住民座り込み「徹底抗戦」 長崎県の土砂搬入に反発 石木ダム建設めぐり緊迫ー
長崎県と佐世保市が川棚町で進める石木ダムの建設事業を巡り、計画に反対する住民らの座り込み地点に県が土砂を搬入し、住民が不信感を募らせている。国の事業認定取り消しを巡る訴訟は住民側が敗訴したが、住民は一歩も譲る姿勢を見せておらず、座り込みの現場は緊迫の度合いを強めている。
住民が座り込んでいる場所は、工期が迫る県道の付け替え工事区間。県は9月28、29の両日と今月16日の計3回、同区間の約140メートルに計1000立方メートルの土砂を搬入した。盛り土のための搬入だったが、いずれも住民が座り込みを終えた午後だったことから住民側は反発。日々の座り込みを夕方まで延長し、参加人数を増やすなど“徹底抗戦”の構えをみせている。
県は今月9日、座り込み現場に住民が持ち込んでいる椅子、旗など私物の撤去を求める看板2枚を設置したが、住民の主張とはかみ合わないまま。13日には県の奥田秀樹・土木部長が現場を訪れ、住民に話し合いを提案したが、工事中止を前提とする住民との接点は見いだせなかった。
建設予定地に暮らす岩本宏之さん(75)は、住民がいない時を狙った土砂搬入に憤り、「裁判で勝っても負けてもダムに反対する気持ちは変わらない」と話した。
石木ダムは佐世保市の水不足解消や川棚町の治水を目的に計画され、国は2013年に事業認定し、反対住民が15年に提訴した。最高裁は今月8日付で住民側の上告を退けたが、住民らは「社会通念に照らして必要のない事業であることは明らかだ。計画が撤回されるまで闘う決意は揺るがない」との声明を出した。
県は今年度の当初予算に、ダム本体予定地の掘削工事など関連事業費計約8億円を計上した。県河川課の担当者は「ダムの完成に向け事業を進めていく方針に変わりはない。ダムの公益性を認めた司法判断を重く受け止めてもらい、妨害行為をやめるよう粘り強く交渉したい」としている。【綿貫洋】