長崎県の石木ダム建設予定地では、事業用地の住民13世帯の反対運動が続いていますが、長崎県は本体工事に今年度内に着手しようと、付け替え道路工事を強行しています。工事現場に毎日座り込んで抗議行動を続けている住民や支援者は、このほど長崎県に抗議文を提出したとのことです。
抗議文は以下のサイトに掲載されています。
http://kawabegawa.jp/ishiki/20210315KOGIMOSHIRE.pdf
関連記事を転載します。長崎新聞によれば、県は予定通りに工事を進められないことから、石木ダム事業の工期延長を検討しているとのことですが、石木ダム事業はこれまでにすでに9回延長されています。
◆2021年3月15日 NHK長崎放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210315/5030010885.html
ー石木ダムの関連工事中止申し入れー
長崎県川棚町で建設が進められている石木ダムの建設に反対する市民団体のメンバーが県庁を訪れ、ダム建設に必要な県道の付け替え道路の工事の中止などを求めました。
長崎県と佐世保市が、川棚町で建設中の石木ダムをめぐっては、県は建設に必要なすべての用地の収用を終え、家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになっていて、年度内にはダムの本体工事に着工する計画です。
これについて、市民団体のメンバーおよそ20人が県庁を訪れ、県河川課の浦瀬俊郎課長に県道の付け替え道路の工事の中止や住民らとの対話を求める申し入れ書を手渡しました。
これに対し、浦瀬課長は「全国で頻発する自然災害に備えダムは早期に完成させる必要がある」と述べた上で、住民らとの対話については「地権者の方の真意を確認し、話し合いをどうするのか知事も含めて検討している。もう少し時間をいただきたい」と述べました。
一方、市民団体側は「真意を聞きたいと言いながら知事の真意はどこにあるのかを言わずにこちらの真意だけを探ろうとしている。工事を止めて話し合いをする気があるのかと聞いても全く返事がない」と訴えました。
申し入れを行った「石木ダム建設に反対する川棚町民の会」の炭谷猛代表は「地元住民を納得させて作業を行うのが本来の姿で、知事は全くかけ離れたことをしているとしか見えない」と話していました。
◆2021年3月16日 長崎新聞
https://this.kiji.is/744387358244323328?c=39546741839462401
ー石木ダム建設事業 工事中止、住民との対話 反対4団体が県に申し入れー
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業に伴う県道付け替え道路工事で、「石木ダム建設に反対する川棚町民の会」(炭谷猛代表)など市民4団体は15日、県庁を訪れ、工事の中止や住民との対話を求める中村法道知事宛の申し入れ書を提出した。
炭谷代表や支援者ら約20人に、県河川課の浦瀬俊郎課長が対応した。
反対住民らが抗議の座り込みを続ける区間の盛り土工事の工期が今月末に迫っている。これまで住民は「対話は工事の中断が条件」などと主張。県は対話を模索する一方、「できる範囲で進める」として先月から座り込み場所の付近に「安全対策」の土のうなど仕切りを設置して土砂を搬入した。支援者らが仕切りを越えて動く重機に近づくなど抗議を続けている。
申し入れ書は、土砂搬入に抗議し工事の即時中止と対話を求める内容。水没予定地に住む炭谷代表は「工事を止めないと話し合いもできん。知事の姿勢が見えない。そう伝えて」と要望。浦瀬課長は「意見は知事に伝える。話し合いについては検討中。もう少し時間をいただきたい」と答えた。
盛り土工事の今月末の工期内完了は難しい状況。また、年度内着工を目指す本体工事の一部も工期内完了は難しいもようで、県はいずれも工期を延長する方向で検討している。
◆2021年3月16日 長崎新聞
https://this.kiji.is/744385605068685312
ー石木ダム予定地 13世帯が清掃活動 集会の代替でー
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダムの水没予定地・川原(こうばる)地区で暮らす反対住民13世帯は14日、石木川周辺の清掃活動に取り組んだ。例年は支援者を交えた集会を開くが、新型コロナウイルス感染防止のために見送り、代替行事として地元住民のみで実施した。
住民でつくる絶対反対同盟が結成された1980年3月14日を記念し、毎年3月に「団結大会」を開くが、コロナ禍の影響で昨年は中止。今年も収束が見通せない中、古里を守る意志や地元同士の結束を確認しようと清掃を発案した。約20人が参加し、男性陣は川辺の草刈り、女性陣は集落のごみ拾いをした。
同地区では土地収用法に基づき、2019年9月までに13世帯の宅地を含む全ての土地の所有権が県と同市に移った。住民の岩本宏之さん(76)は清掃中、自分が整備した水田で「ここは国有地です。使用を禁止します」という県の看板を見つけた。「何年もかけて農業がしやすいように自力で整備した土地。勝手にこんなものを立てて頭にくる」と憤り「命をかけて土地を守る」と決意を新たにしていた。