国土交通省は2011年度から全国各地で「河川空間のオープン化」を進めてきており、このほど八ッ場ダム貯水池周辺でも地元の長野原町の要望を受けて水辺の利活用が図られることになりました。
これまでの「河川空間のオープン化」の具体的な事例は、国土交通省の資料にまとめられています。隅田川(東京都)のオープンカフェ、荒川(埼玉県)のバーベキュー場、刈谷田川(新潟県)の道の駅のほか、ダム中止後も河川予定地のままにされた熊本県五木村の川辺川ダム水没予定地におけるバンジージャンプ施設なども含まれています。
★「河川空間のオープン化について」(国土交通省)11、15ページより
これまで河川敷などは河川法によって民間事業者が営利目的で占有することを禁じていましたが、この施策では都市・地域再生等利用区域に指定されると、民間による営利目的の利用も可能になります。
これまで八ッ場ダム周辺の観光は、ダム事業で整備された地域振興施設を核として、水没地域の住民が主体となって進められてきましたが、住民はダム事業によって減少しています。「河川空間のオープン化」によって、八ッ場ダムを抱える地域はどのように変化していくのでしょうか?
★国土交通省関東地方整備局ホームページより
https://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/tonedamu_00000111.html
ー八ッ場ダム 河川空間のオープン化を開始~都市・地域再生等利用区域指定書の伝達式を開催します。~ー
長野原町では、八ッ場ダム周辺エリアについて、河川空間のオープン化※に向けて、令和3年1月19日に関東地方整備局あてに要望書を提出しておりましたが、令和3年3月25日付けで都市・地域再生等利用区域に指定となりました。指定書の伝達式について、下記のとおり実施します。
1.日時:令和3年3月29日(月)15時00分~
2.場所:長野原町役場
3.出席者:利根川ダム統合管理事務所長、長野原町長
報道機関の方は、伝達式を取材いただけます。本文資料(PDF)別紙1により、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する留意事項をよくお読みのうえ、事前申込みをお願いします。
※「河川をにぎわいのある水辺空間として積極的に活用したい!」というニーズに応えるため、営業活動を行う事業者等も河川敷地の占用が可能となる都市・地域再生等利用区域に指定することを「河川空間のオープン化」と称しています。
関連記事を転載します。
◆2021年3月26日 上毛新聞
ー八ツ場ダム周辺で物販可能に 国交省が指定 長野原町は集客に期待ー
八ツ場ダムを管理する国土交通省利根川ダム統合管理事務所は25日、ダム湖周辺の敷地について、民間事業者の移動販売などが可能となる「都市・地域再生等利用区域」(河川空間のオープン化)に指定した。地元の群馬県長野原町が要望していた。ダム本体の近くで土産品や食べ物などの販売が可能となり、町は集客力向上に期待を寄せる。
指定された区域はダム本体から上流6キロ弱までの吾妻川両岸の区域。ダム本体や、商業施設「八ツ場湖の駅丸岩」、八ツ場大橋、JR川原湯温泉駅周辺など七つのエリアを指定した。
湖の駅丸岩を発着点とした水陸両用バスの運行や、川原湯温泉駅近くのキャンプ場は試験的な位置付けで昨年、既に営業を開始している。今後は民間事業者も本格的に物販などに参入できる。
利用の調整や許可は、町が事業を委託する一版社団法人つなぐカンパニーながのはら(会長・萩原睦男町長)が行う予定。町は「キッチンカーなどが幅広く出店できるようになる」と活性化を期待する。
29日に同管理事務所から町に対して指定書が伝達される。
河川空間のオープン化は国交省が2011年から、自治体などの要望を基に地域活性化につながる取り組みを認定している。