一級水系とは、国土交通大臣が国土保全上または国民経済上特に重要として指定した全国の109水系のことです。
さる3月30日、国土交通省は全国109の一級水系と12の二級水系(都道府県が指定)において、流域治水プロジェクトを一 斉に公表しました。各流域の治水プロジェクトは以下のページで見ることができます。
★流域治水プロジェクト
https://www.mlit.go.jp/river/kasen/ryuiki_pro/index.html
関連記事を転載します。
◆2021年3月31日 信濃毎日新聞
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021033100072
ー国交省、「流域治水」の全体像を公表 県関係は千曲川など7水系ー
国土交通省は30日、水害の軽減に向けて流域全体で対策を行う「流域治水」を推し進めるため、全国109の1級水系全てでそれぞれの対策の全体像を示した「流域治水プロジェクト」を公表した。ダムや堤防だけに頼らず、水田での貯水や遊水地、森林整備などを組み合わせ、総合的に治水対策に取り組む。
長野県関係では、千曲川(信濃川)、天竜川、木曽川、姫川、関川、矢作川、富士川の7水系が対象。水系ごとに、国や県、市町村などの関係機関でつくる協議会がプロジェクトの作成を進めてきた。各プロジェクトではさまざまな対策やロードマップ(工程表)を示した。
このうち2019年10月の台風19号災害で被害が出た千曲川水系では、短期的には中野市の立ケ花狭窄(きょうさく)部を含む河道掘削や遊水地整備を、中長期的には大町市内3ダムの洪水調節容量を増やす「大町ダム等再編事業」の推進などを明記。水田の持つ貯水機能を活用した「田んぼダム」推進や、森林整備・治山対策、事前に自分の避難場所や行動を整理する「マイ・タイムライン」普及も進めるとした。
他の県関係水系でも、河道掘削や堤防整備といったハード面に加え、マイ・タイムライン作成などのソフト面の対策を盛った。
被災箇所の復旧や人口が集中する場所の対策は5年程度で集中的に実施。20~30年程度かけて戦後最大クラスの洪水でも安全を確保できるよう取り組む。
各水系の詳細は、国交省ホームページ「流域治水プロジェクト」のコーナーで公開している。
◆2021年3月31日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASP3Z6RH3P3ZTLVB00B.html
ーダム除き、事業費約1800億円積算 球磨川治水ー
国土交通省や熊本県などでつくる球磨川流域治水協議会は30日、球磨川の治水計画「球磨川水系流域治水プロジェクト」を正式に公表した。最大支流である川辺川への流水型ダム整備などにかかる費用は含まず、積算できた事業費だけで約1804億円に上る。
昨年7月の記録的豪雨と同規模の洪水での被害軽減をめざし、ハード・ソフト両面で対策を講じる。事業費の内訳は、河川対策約1636億円、砂防対策約143億円、下水道対策約25億円。2021年度に調査・検討に本格着手する流水型ダムや県営市房ダム(水上村)などの関連事業費は含んでいない。流水型ダムは国の新年度当初予算に調査費4億円が計上された。
計画では、人吉市で堤防からの越水を防ぎ、八代市坂本町などの中流部では家屋の浸水防止をめざす。工程表では、今年の梅雨などの出水期までに可能な限りの堆積(たいせき)土砂の撤去、堤防決壊箇所の本復旧、タイムラインの改善をする。第1段階(おおむね5年)で宅地かさ上げを完成させ、遊水地整備に必要な用地確保に着手。29年度までの第2段階早期に遊水地を完成し、田んぼダムの普及・拡大を推進。30年度以降に流水型ダムや市房ダム再開発を完成させる。
蒲島郁夫知事は「特に出水期までの取り組みについては堆積土砂の撤去や避難体制の強化などのハード・ソフト対策を含め、時間的緊迫性を持って取り組む」とコメントを出した。(伊藤秀樹)