2019年10月の台風19号豪雨では、千曲川は長野市穂保(ほやす)で堤防が決壊するなど、各所で洪水が溢れ、凄まじい氾濫になりました。
この千曲川でその後、様々な治水対策が実施されてきています。穂保では、国が20年近く封印してきた耐越水堤防工法が導入されました。
千曲川で実施されている治水対策は千曲川河川事務所の以下のサイトで見ることができます。
★国土交通省 千曲川河川事務所 千曲川堤防調査委員会
http://www.hrr.mlit.go.jp/river/chikumagawateibouchousa/index.htm
★緊急治水対策プロジェクト https://chikuma-kinkyu.com/
★第5回 千曲川堤防調査委員会 令和2年12月16日(水) 配付資料一式
http://www.hrr.mlit.go.jp/river/chikumagawateibouchousa/chikuma-05.pdf
上記の「配布資料一式」の11~24枚目に千曲川52~60㎞区間で実施する堤防強化対策の内容が書かれています。堤防強化対策は堤防ののり面をブロック等を覆うものです。実施する工法は一様ではなく、区間によって異なるようです。実施時期は2023年出水前までとなっています(最終ページ)。
ここで計画されている堤防強化工法でよいかどうか、堤防の専門家の意見をお聞きする必要がありますが、堤防強化工法が千曲川に導入されていくことは、今後の治水対策のあり方として歓迎したいと思います。
「配布資料」14ページより
以下の記事によれば、千曲川の治水対策として、洪水の原因の一つとされる狭窄部の拡幅工事が始まったとのことです。千曲川水系では、支流の浅川に治水専用の流水型(穴あき)ダムが2017年に完成していますが、ダム建設地の地盤が悪く、治水効果も低いことから、地元で反対運動があり、田中康夫知事時代に一旦は止まりました。
実際、2019年の洪水の際、浅川上流の雨量は少なく、浅川ダムは役に立ちませんでした。当時、必要といわれた狭窄部の拡幅、堤防強化などの治水対策が甚大な水害を経て、ようやく進められています。
関連記事を転載します。
◆2021年5月5日 excite ニュース
https://www.excite.co.jp/news/article/Fujiyama_water_11239/
ー長野県 千曲川の治水対策として川幅拡張に着手 2027年度プロジェクト完成を目指すー
2019年10月の台風19号で堤防が決壊し大水害が発生した長野県千曲川流域で、国土交通省千曲川河川事務所は、緊急治水対策プロジェクトの一環である千曲川の川幅拡張工事をスタートさせた。今回工事が行われるのは、台風19号で堤防が決壊した長野市穂保地区の5kmほど下流に位置する立ケ花狭窄部と、飯山市の戸狩狭窄部の2カ所。立ケ花狭窄部は、穂保地区のなかでも川幅が非常に狭く穂保付近の4分の1程度しかない。そのため、大雨の際には立ケ花狭窄部より上流で水位が極端に上昇する傾向がある。
緊急治水対策プロジェクトには千曲川の川幅拡張工事以外に、台風19号で決壊した堤防をコンクリートブロックで覆う堤防強化工事、水位が上昇して堤防を超える可能性が高くなったときに水を引き入れる遊水地の整備、国土交通省所有の大町ダムと東京電力ホールディングスが管理する高瀬ダムと七倉ダムの連携による洪水調節容量の増加などがあり、いずれも工事や地権者との交渉などがすでに進んでいる。
なかでも遊水地の整備については、千曲川流域5カ所に設置する予定をしているが、国による土地の買取りや、万が一の際に水没させることを地権者に了承してもらう必要があるなどで、設置までに時間を要する。東京電力ホールディングス管理のダムについても、東京電力ホールディングスに発電用ダムを使った治水についての経験や知識がないため、システムの構築からスタートすることとなり、課題が残っている。千曲川の緊急治水対策プロジェクトは、2027年度のプロジェクト完成を目指すとしている。