国土交通省が愛媛県の肱川に建設中の山鳥坂(やまとさか)ダムは、現在の計画では2026年度完成となっていますが、地元のテレビニュースによれば完成が遅れそうです。
このニュースの元になっている情報が国土交通省四国地方整備局のホームページに掲載されています。
★記者発表「『令和3年度 山鳥坂ダム工事事務所 ダム事業費等監理委員会』の 審議結果について 令和3年5月14日
https://www.skr.mlit.go.jp/yamatosa/kisya/pdf/210514.pdf
この資料の3ページを見ると、付替県道に関する工事用道路は進捗度が86%で、まだ完成せず、仮排水トンネル等のダム本体準備工事はその先のことになっています。
記事に書かれているように(資料11~13ページ)、ダムサイト右岸下流域で大規模な地すべりが発生する危険性があることが判明して、その対策が必要となったということですから、ダムの完成は予定の2026年度よりかなり遅れると思われます。
肱川では2018年7月の西日本豪雨で野村ダムと鹿野川ダムの緊急放流により、ダム下流域が氾濫し、8人の流域住民が濁流に呑まれて亡くなりました。肱川大氾濫の主因はダム偏重の河川行政(山鳥坂ダムの建設推進)によって堤防整備などの河川改修がなおざりにされてきたことにあります。
◆2021年5月15日 テレビ愛媛
https://news.yahoo.co.jp/articles/fcdeb3694496ab38fbb6f60faebb362208bc4d62
ー山鳥坂ダム2026年度の完成は困難【愛媛】ー
肱川の治水対策として建設が予定されている山鳥坂ダムについて国は新たに「地すべり」対策の追加工事が必要として2026年度の完成は困難との認識を初めて示しました。
山鳥坂ダムは2026年度の完成に向け、現在ダム本体の建設工事に取りかかるため県道の付け替え工事が行われています。並行して地質調査を進めている国は、予定地のそばに工事によって大規模な「地すべり」が起こる可能性のある個所を発見。
追加の対策工事が必要として現在、予定されている2026年度の完成は困難との認識を初めて示しました。
国は地すべりが起こる可能性のある個所の撤去や、ダムの工事予定地を上流に変更するなどの対策を検討していて、できるだけ早く決定し公表したいとしています。
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〈参考ページ〉
「2018年西日本豪雨・肱川上流ダムの緊急放流についての解説ビデオ」