石木ダムの水没予定地、川棚町こうばるでは、13世帯のダム反対住民が暮らす土地が土地収用法の手続きによって2019年に国の所有となりましたが、住民はそれまでと変わらぬ生活を続けています。石木ダムの事業者である長崎県は、住民を立ち退かせるため、なんとか住民を知事との「話し合い」の場に引っ張り出そうと、あの手この手で働きかけてきました。
長崎県が住民との事前協議のために6月30日に送った3回目の文書に対し、現地の「石木ダム建設絶対反対同盟」は7月12日、話し合いのための4条件を文書で長崎県に伝えたとのことです。一方で、石木ダムに反対する長崎市民らは、県にダム事業の中止を求める要望書を再三にわたり提出しています。
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◆2021年7月14日
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/770040/
ー土俵には簡単に乗れない。石木ダム巡り文書で伝えた4条件ー
石木ダム・リポート ―7月13日―
「事前協議の場になれば、県は一方的に条件を出してくる。こちらから文書で示した方がいいと思った」
九州北部が梅雨明けした13日、長崎県川棚町の石木ダム建設現場。夏の日差しを避けた木陰で工事を監視していた住民の岩下和雄さん(74)は、県に送った文書の狙いについて、こう説明した。
県が5月下旬以降、住民側に提案している中村法道知事との話し合いと、それに向けた事前協議。今回、県は協議の参加か、文書での回答かを求め、住民側は話し合いのための4条件を文書で伝えた。
(1)住民が座り込む現場での工事の即時中断と、新たな工事に着手しないこと
(2)協議は、水没予定地の公民館で行うこと
(3)日時は若い人が参加できる日曜の午後か、平日なら午後7時以降
(4)知事がダムの必要性などについて、分かるように説明すること
3年前にも、県と住民側は知事との話し合いに向けた協議を2回、開いた。だが、県側は「話し合いは非公開」「工事は止めない」「裁判関係の質問は議論できない」な
どの条件を出した。住民側は強く反発した。
議論は平行線をたどったまま、2019年9月、土地収用法に基づき住民の土地の所有権が国に移転した。そのタイミングで、住民側が県庁を訪れ、中村知事との5年ぶりの話し合いがもたれている。住民にとっては、決して望んではいない形だった。
話し合いは拒まない。ただ、用意された土俵には簡単に乗れない―。13日の文書には、そんな住民側の意思がにじむ。
(岩佐遼介)
石木ダム 長崎県と同県佐世保市が、治水と市の水源確保を目的に、同県川棚町の石木川流域に計画。1975年度に国が事業採択した。当初完成予定は79年度。移転対象67戸のうち川原(こうばる)地区の13戸は立ち退きを拒否し、計画撤回を求めている。2019年5月に県収用委員会が反対地権者に土地の明け渡しを命じた裁決を出し、
同年9月に土地の所有権は国に移転。同年11月の明け渡し期限後、県の行政代執行による強制収用の手続きが可能になった。
◆2021年7月14日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20210714/ddl/k42/040/390000c
ー「石木ダム中断」 住民側回答文書 知事対話の事前協議ー
県と佐世保市が川棚町で進める石木ダム建設を巡り、県が知事と水没予定地の13世帯の住民との対話に向けた事前協議のために送った3回目の文書に対し、住民でつくる「石木ダム建設絶対反対同盟」は12日、工事の即時中断と新たな工事に着手しないよう約束することを求める回答文書を送付した。
この他、協議場所を水没予定地にある川原公民館にすることや若い人が参加できるよう協議の日時を日曜午後か平日午後7時以降にすること、知事がダムの必要性を説明することなどを求めている。
県が6月30日付で13世帯に送付した3回目の文書で、県は事前協議当日の工事は全て中止すると提案。対面での協議を望まない場合は、工事中断の具体的な条件について回答を求めていた。【綿貫洋】
◆2021年7月13日 NHK長崎放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210713/5030012011.html
ー石木ダム建設に反対の地元住民が知事との話し合いに条件提示ー
川棚町で建設が進む石木ダムをめぐって、長崎県が中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いを模索する中、住民側は、工事を即時中断した上で、期間中は工事を行わないなどの条件を満たせば、話し合いに臨む意向を記した文書を中村知事に宛てて送りました。
川棚町で建設が進む石木ダムをめぐって、長崎県は、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いに向けて、住民側に対し、12日までに具体的な条件を確認するための事前協議に応じるか、その条件を文書で回答するよう求めていて、協議に応じる場合には、その当日に限ってすべての工事を止める方針を明らかにしています。
こうした中、住民側は、12日付けで、中村知事宛てに回答文書を送り、話し合いに向けた具体的な条件として、工事を即時中断した上で、話し合いの期間中は付け替え道路に関連した一部の工事を除いて工事を行わないことや新たな工事に着手しないことを求めています。
また水没予定地にある川原公民館を会場に、日曜日の午後か平日の午後7時以降に実施し、話し合いでは中村知事がダムの必要性などについて住民側にわかるように説明することを求めたうえで、「みんなで協議し、こうした条件のもとで話し合いに臨みたい」と記しています。
長崎県は、「文書の内容をよく確認したうえで、今後の対応を検討したい」としています。
◆2021年7月12日 長崎文化放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/af9010e59810af497a603d67dd4fc8d14ed4dd93
ー石木ダム工事中止求める要望書を知事に提出ー
東彼・川棚町に長崎県などが建設する石木ダム事業に反対する市民団体が12日、工事の中止を求める要望書を知事に提出しました。長崎市民らでつくる「いしきを学ぶ会」の会員ら約30人が長崎県庁を訪れ、ただちにダム建設工事を中止し、無条件で住民との対話を始めることなどを求める要望書を河川課の職員に手渡しました。
職員は「知事に責任をもってお渡しする」と述べ、要望書を受け取りました。石木ダム建設事業をめぐっては長崎県が知事と住民の対話に向けて条件面などを話し合う事前協議のため住民側に3度目の文書を郵送していて12日が回答期限となっています。長崎県によると今のところ住民側からの回答はないということです。
◆2021年7月13日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20210713/ddl/k42/040/378000c
ー「石木ダム建設中止を」 市民団体が知事に要望書 水没予定地住民と対話求めるー
県と佐世保市が川棚町で進める石木ダムの建設計画を巡り、市民団体「いしきを学ぶ会実行委員会」のメンバーが12日、県庁を訪れ、ダムの建設工事を中止し、水没予定地の住民と無条件で対話するよう求める中村法道知事宛ての要望書を提出した。
要望書は、県と住民との話し合いについて「建設工事を続行しながら話し合いを求めるのは理不尽な対応」と指摘し、「知事が真摯(しんし)に住民との対話を望んでいるのであれば、ただちに建設工事を中止し、無条件で住民との対話を実現させるべきだ」と求めている。
県は水没予定地の川原(こうばる)地区に暮らす13世帯の住民に対し、話し合いの条件を確認する事前協議の場を設けるよう再三提案。応じる場合は協議当日のみ工事を中断する方針を示し、12日までに回答するよう求めている。
県は、ダム本体の掘削工事や水没予定地で進めている県道付け替え工事などの工期を、当初の6月末から9月末までに延長している。【田中韻】