八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

川辺川 流水ダム関連26億円概算要求に計上…国交省

 国土交通省は、昨年7月の九州豪雨で氾濫した球磨川支流の川辺川(熊本県)に新設する流水型ダムの関連費として、2022年度予算の概算要求に26億4800万円を計上したと報道されています。
 読売新聞の記事には、「ダム本体の検討を進めるとともに、環境影響評価(環境アセスメント)に本格的に取り組む。」と書かれています。
 しかし、既報の通り、国交省が実施する環境アセスは、環境影響評価法によるものではなく、地元紙・熊本日日新聞がカッコ付きで伝えているように、「法と同等」の環境アセス手続きを行うということです。環境影響評価法による環境アセスは、国民の意見を聞く機会が3回はあります。そうした手続きを省略して、少なからぬ予算を取って調査を実施し、環境への配慮をアピールするという国交省の手法は、八ッ場ダム事業でも見られました。
 川辺川ダムを巡っては、ダム建設による河川環境への悪影響が八ッ場ダムよりはるかに注目されていますので、国土交通省はダム建設反対の世論が大きくなる前に既成事実を積み重ねようとしているのでしょう。

◆2021年8月27日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20210827-OYTNT50100/
ー川辺川 流水ダム関連26億円概算要求に計上…国交省ー

 国土交通省は27日、昨年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川支流・川辺川に新設する流水型ダム関連費として、2022年度予算の概算要求に26億4800万円を計上したことを明らかにした。ダム本体の検討を進めるとともに、環境影響評価(環境アセスメント)に本格的に取り組む。

 国交省によると、21年度予算の関連費(5億5500万円)と比べて約21億円の増額となる。22年度はダム本体の構造の検討に引き続き取り組むほか、新たに地質調査を行う。環境影響評価は熊本県の要望に配慮して実施。22年度は動植物や水質などを調べる。

 08年にダム計画の「白紙撤回」を表明した蒲島郁夫知事は九州豪雨後の昨年11月、方針を転換。流水型ダム建設を国交相に求めた。

◆2021年8月27日 熊本日日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/9e16a1108ba3826de6a75f0eacf42e26843eed0c
ー流水型ダム関連で26億円 国交省、来年度概算要求を公表ー

 国土交通省は26日、2022年度予算の概算要求を公表し、昨年7月豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の支流・川辺川に新設する流水型ダム建設関連費として26億4800万円を盛り込んだ。ダムの本体構造の検討や、環境影響評価(アセスメント)関連の調査に充てる。

 09年に民主党政権が従来のダム計画を中止した後も毎年確保してきた川辺川ダム事業関連費として計上。砂防事務所(相良村)や河川の維持管理費も含んでおり、21年度当初予算からは約4・8倍の増額となる。

 ダムの大きさなど規模や構造を引き続き検討するほか、「法と同等」の環境アセス手続きとして、新たに水質や周辺地域の動植物調査も実施する。地滑り対策としてボーリング調査も行う。

 このほか豪雨からの復旧関連では、防災安全交付金として要求する1兆291億円の一部を使い、人吉市内に残る土砂を撤去。被災鉄道の復旧促進には9億4100万円を要求し、一部を運休中の第三セクター「くま川鉄道」(24・8キロ)の復旧補助に充てる。

 球磨川など全国の1級河川で取り組む流域治水プロジェクトの推進費には7440億円を要求。新たに田んぼダムの詳細な効果測定なども実施し、球磨川流域でも取り組む方針だ。(嶋田昇平)