コロナ禍が原因で、今年に続き来年も川原湯温泉の湯かけ祭りが中止となることが決まったと報道されています。
湯かけ祭りは、温泉の恵みに感謝する年中行事として、毎年大寒1月20日の夜明け前に執り行われてきました。
朝日新聞の記事で紹介されている1940年頃の動画には、温泉が湧き出る泉源の周辺で湯を掛け合う若者たちの姿が映し出されています。
➡1940アーカイブス 「ダムに沈む温泉街に響く歓声 湯かけ祭り、80年前の姿」
戦後、湯かけ祭りは観光の目玉として脚光を浴びるようになり、毎年、泉源の上に竹を組んだ舞台をつくって、その上で神事が行われたそうですが、地元がダムを受け入れてからは祭りの担い手が減少し、泉源の上に鉄骨で常設の舞台が設けられました。2015年以降は川原湯温泉の移転代替地で、祭りが続けられてきました。
泉源のある場所はダム湖に沈んでいますが、井筒で保護され、送湯管で温泉を代替地の旅館や共同湯へ引湯しています。泉源のある場所周辺は、現在は源泉公園として整備されています。
◆2021年12月6日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/37825
ー奇祭「湯かけ祭り」が2年連続の中止に 密集や大声、コロナ対策難しいと判断ー
群馬県長野原町川原湯の川原湯温泉で約400年前に始まり、例年は1月の大寒に開かれる奇祭「湯かけ祭り」が2年連続で中止となることが、5日までに分かった。祭りで大声を出すほか、密集が避けられないことから、主催者側は新型コロナウイルス感染症対策が難しいと判断した。
湯かけ祭りは共同浴場の「王湯」前で、川原湯地区の男性が大寒の早朝、下帯姿で「お祝いだ」と叫びながら湯をかけ合い、源泉が湧き続けることを祈願する伝統行事。新型コロナ感染拡大のあおりを受け、今年は戦時中の混乱期以降で初の中止となった。
例年は見物客が数百人集まるため、感染対策を徹底しながら開催するには大きな困難や負担が生じるなどとして、地区の役員が集まる評議委員会で結論を下した。
地元区長の金子久夫さん(63)は「できればやりたいという声もあったが、祭りが原因で感染者が出た場合は大変だ。再来年こそできるようにコロナが収まってほしい」と話した。
—転載終わり—
写真=泉源を囲んだ井筒のある川原湯温泉の源泉公園。JR川原湯温泉駅と代替地の川原湯温泉を結ぶ町道・川原湯温泉幹線街路の脇。2021年3月6日撮影。
写真=ダム湖の水位が下がると、水没した温泉街の跡が見える。老舗の山木館の跡には、餌箱を括りつけたムササビの木など、観光客を癒した木々が立ち枯れている。2021年7月18日撮影。
山木館は代替地で再建・営業を継続している。➡山木館ホームページ