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<県政の現場から 2022知事選> 石木ダム、諫干 懸案事業どこまで関心広がるか

 20日の長崎県知事選では、現職の中村知事と保守系新人の大石氏が立候補して、自民党票が割れることが注目されていますが、石木ダム、諫早湾干拓など、長崎県の懸案に対する二候補の姿勢は「早期完成に向けて推進」で、違いがありません。大石氏は「早期完成のために知事自ら現地へ足を運び対話を行う」と語っているということですが、ダム建設に反対する13世帯の現地住民が中村知事との対話を拒否する中、いったいどうやって「早期完成のために」「対話」を行うというのでしょうか?
 立憲民主党は昨秋の衆院選では「石木ダム見直し」を掲げていたのですが、知事選では連合に「配慮」して現職の支持を打ち出しており、これも有権者がしらける理由になっています。

 こうした中、石木ダム問題をきっかけに長崎県知事選に挑戦することになった新人の宮沢候補が石木ダム問題の「争点化」を図っているとのことですが、どこまで関心が広がるかは未知数と地元紙が伝えています。
 ダム問題が解決しない真の原因は、問題を他人事として向き合おうとしない民意にあるのかもしれません。

◆2022年2月11日 長崎新聞
https://nordot.app/864682915060727808?c=174761113988793844
ー<県政の現場から 2022知事選> 石木ダム、諫干 懸案事業どこまで関心広がるかー

 石木ダム建設と国営諫早湾干拓の開門調査は長年、賛否が割れたまま解決せず、長崎県政の懸案となってきただけに、知事選(20日投開票)での論戦が注目される。だが現職の中村法道候補(71)、新人の大石賢吾候補(39)はいずれも石木ダムの「早期完成」を主張。新人の宮沢由彦候補(54)が「見直し」を訴え争点化を図っているが、どこまで広げられるかは未知数。諫干開門調査の舌戦はそれ以上に低調だ。
 選挙戦初日の3日、長崎市内で出陣式を終えた宮沢氏が最初に向かったのは、石木ダムの水没予定地、東彼川棚町川原地区だった。土地収用法に基づき県が所有権を取得した後も反対住民13世帯が暮らす。宮沢氏は県内各地の街頭演説で積極的にダム問題に言及し「立候補するきっかけ。この問題を抜きにして政策は語れない」と最重要視する。
 ただ、ダムの受益圏は佐世保市や川棚町。それ以外で県民の関心を引き出せるかは計り知れない。島原市で宮沢氏の演説を聞いていた30代女性は「(キャッチフレーズの)『ワクワク』しか印象に残らなかった」と冷めていた。
 中村氏は新型コロナウイルス対応を理由に選挙活動を自粛。公約に石木ダムの表記はないが、佐世保市などの支援者からは「4期目こそ完成を」との声が上がる。4日、同市の出発式では朝長則男市長も「石木もあと一歩のところへ来ている」と念を押した。
 大石氏は政策集に「早期完成のために知事自ら現地へ足を運び対話を行う」と盛り込んだものの、演説で触れることはほぼない。陣営関係者は「多くの市民にとっての関心はもっと身近な話題。長崎市で石木ダムの話をしてもピンとこない」と説明する。
 候補者や地域によって温度差はあれど、川原地区の住民は「知事選でこれほど石木ダムが話題になるのは初めて。地域の小さな問題じゃない」と関心と理解が広がるよう期待する。同地区の取材を続ける写真家の村山嘉昭さん(50)は10日、住民13世帯のほぼ全員が出演する動画「石木ダム水没予定地 こうばるの声」をユーチューブに公開。特定候補への支持は求めず「選挙に行きましょう」「ひとごとと思わないで」と投票を呼び掛ける。村山さんは「知事選をきっかけに当事者の思いを知り、ダム問題について考えてほしい」と語る。
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 諫早市小長井町の漁業、松永秀則さん(68)は、やるせない思いで選挙戦を眺めている。
 諫干の潮受け堤防開門の是非を巡っては、訴訟合戦が繰り広げられてきた。2010年の開門確定判決に対する請求異議訴訟の差し戻し審は、今年3月に判決が言い渡されるが、司法判断が抜本的解決にならないことは一連の訴訟結果が示している。漁場悪化を理由に開門調査を求め続ける松永さんは「多くの県民に関心を持ってもらえれば(選挙の)争点にもなる」と願う。
 だが知事選候補者が、国営事業の諫干に言及する機会は乏しい。死者・行方不明者630人に上った1957年の諫早大水害を経験した市内の男性(82)は「潮受け堤防の防災効果は明らか。争点にならないのは当たり前」と冷静に話す。

◆2022年2月14日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/876544/
ー大石氏と中村氏が激しく競る 長崎県知事選、情勢分析ー

 長崎県知事選(20日投開票)で、西日本新聞社は12~14日、県内の有権者を対象に電話世論調査を行い、取材を踏まえて情勢を分析した。新人で元厚生労働省医系技官の大石賢吾氏(39)=維新推薦=と、4選を目指す現職の中村法道氏(71)が激しく競り合い、新人で会社社長の宮沢由彦氏(54)は苦戦している。有権者の2割が投票先を決めておらず、情勢は変わる可能性がある。

 知事選には無所属3人が立候補した。中村氏を過去3度の選挙で支援した自民県連が今回は大石氏の推薦を決定。これに反発する党所属の国会議員や県議、党支援組織が中村氏を推す自民分裂選挙となっている。

 自民支持層では中村氏と大石氏が譲らず、ともに4割前後を固める。大石氏は、推薦を受ける維新支持層の7割に浸透し、中村氏を支持する立民支持層の4割も取り込む。中村氏は公明支持層の5割、国民支持層の4割を固めた。全体の4割を占める無党派層では大石氏と中村氏がともに3割弱と互角だが、4割近くは態度を決めていない。

 地域別では長崎市で大石氏がやや優位に立ち、中村氏は出身地の島原半島でリード。佐世保市などでは両氏が接戦を展開している。

 調査はJX通信社(東京)と共同で実施。コンピューターで無作為に発生させた番号に自動音声で電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で行い、1021人から回答を得た。(泉修平)