国が筑後川水系河川整備計画に位置付けている城原川ダムは、国が地元住民にダム計画を発表してからすでに半世紀以上たっていますが、ようやく今月13日に開いた説明会で水没範囲を住民に明らかにしたとのことです。
ダム計画が実質的に塩漬け状態だった50年余りの間、地域は人口減少、高齢化に苦しみ、残っている人々はダム事業による「生活再建」を頼りにするしかない状態に追い込まれています。
今回の説明会は、ダム事業者である国土交通省九州地方整備局が開いたものですが、住民のみ参加可能の非公開形式で、配布された資料も非公開とのことです。
城原川ダムの建設目的は「城原川の洪水被害軽減」で、洪水の時以外は水を流す流水型(穴あき)です。以下のサイトには「公共事業」としての名目が書かれていますが、実際はダム事業を必要とする人々に税金を配分するために行われるようです。
★国土交通省九州地方整備局 筑後川河川事務所ホームページ 「城原川ダムについて」
◆2022年3月15日 佐賀新聞
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/824783
ー城原川ダム水没範囲、国が説明 脊振3地区、全戸移転見通しー
神埼市脊振町に国直轄で建設予定の城原川ダム事業を巡り、地元住民への説明会が13日、市中央公民館で開かれた。国土交通省佐賀河川事務所が、水がたまる湛水範囲や、工事で生じる土砂を捨てる場所などを地図で示し、岩屋と政所まんどころ、今屋敷地区の全住民50世帯120人が移転の対象になる見通しになった。
説明会は非公開で、44世帯79人が参加した。2021年11月の前回の説明会より影響範囲が具体的になり、コンクリートの材料にする岩石を採取するエリア(原石山)も示された。水没地区とされてきた岩屋、政所に加え、土捨て場が示されたことで今屋敷の2世帯も移転対象になることが確実になった。移転に関する今後の事業スケジュールは示されなかった。
水没地域の住民らでつくる城原川ダム建設対策協議会の眞島修会長(84)は説明会後、取材に応じ「一日も早く生活再建をしてほしい」と強調、22年度中の補償基準額の提示を国交省側に求めたという。
ダム計画は1971年に国が予備調査に着手してから51年になる。2005年、洪水調節のみを目的とする「流水型ダム」として整備することを県側が提案したが、再検証の対象になるなど棚上げを繰り返してきた。18年に建設段階に移行し、地質調査や測量などが実施されてきた。地区の高齢化が進んでおり、事業の早期完了を望む声は強い。
政府の22年度予算案には、ダム建設費に前年度比2700万円増となる10億4800万円が計上された。内訳は用地調査、本体関連調査設計、付け替え道路の調査設計費などで、30年度の完成を見込んでいる。(森田夏穂)
◆2022年3月13日 サガテレビ
https://www.sagatv.co.jp/news/archives/2022031308903
ー城原川ダム “水没範囲”詳細明らかにー
神埼市脊振町に建設予定の城原川ダムについて地元の住民を対象にした説明会があり、国は実際に水没する詳細な範囲を明らかにしました。
説明会はダム建設によって水没する神埼市脊振町の岩屋地区・政所地区などの住民を対象としたもので44世帯79人が参加しました。
関係者によりますと国交省・佐賀河川事務所が非公開でおよそ1時間説明し、これまで概略で示していた水がたまる範囲を詳細に公表したということです。
国が予備調査に着手してから50年余り、ようやく岩屋・政所のすべての住民が移転の対象であることが確実となりました。
水没予定地の住民でつくる城原川ダム建設対策協議会の眞島修会長は「1日でも早く着工し生活再建できるようにしてほしい」と話します。
【城原川ダム建設対策協議会・眞島修会長】「私が34、35歳の頃にこの話が出て、もう私が84歳ですよ。以前は“移転したらあれをやろうこれをやろう”というようないろいろな話も聞いてきたが、最近はそういう話も全くもう皆さんしなくなった、もう高齢化で」
城原川ダムは洪水時にのみ水をためる流水型で建設される計画で、来年度中にも住民補償についての具体的な説明が始まるとみられています。