国土交通省が北海道の沙流川(さるがわ)支流に建設していた平取(びらとり)ダムが完成し、7月1日から運用を開始しました。
➡官報 平取ダム建設完了の告示20220701
沙流川には、1998年に建設された二風谷(にぶたに)ダム(河口より約21キロ地点)があります。両ダムの位置は下図の通りです。総貯水容量は二風谷ダム3150万㎥、平取ダム4580万㎥です、。
沙流川におけるダムの重要な問題は、土砂供給量が非常に大きい河川であるので、川の流れを遮るダムが速いスピードで流入土砂で埋まっていくことです。二風谷ダムでは浚渫作業が進められてきましたが、国土交通省が公表している最新のデータによれば、総貯水容量3150万㎥に対して2020年度末の堆砂量がすでに1280万㎥に達しています。
平取ダムも二風谷ダムと同様に、土砂堆積がかなりのスピードで進行していくことは必至です。
国土交通省は平取ダムでは融雪期(4~5月中旬)は水を貯めることなく、水や土砂をそのまま流下する方式を採用し、堆砂が深刻になるのを防ぎたい考えです。
しかし、机上で考えられた方式が実際に計画通りにいくかどうかは不明です。黒部川の宇奈月ダムのように、排砂による生態系への影響を心配せざるを得ません。沙流川は平取ダムの完成により、深刻な問題を新たに抱えることになったといえます。
★国土交通省北海道開発局 「二風谷ダム・平取ダムの堆砂について」
北海道の市民団体「「流域の自然を考えるネットワーク」のサイトに二風谷ダムの堆砂の状況を伝えるレポートが掲載されています。
http://protectingecology.org/report/8441