群馬県では、県央第二水道と東部地域水道が利根川から取水する水量を増やすために、負担金を支払って八ッ場ダムの水利権を取得しました。しかし、両水道ともに給水量は減少してきています。
◆前橋市の水道料金値上げ
県央第二水道から水道用水の供給を受けている県庁所在地の前橋市では、今年4月に水道料金が約17%値上げされました。3年後の2025年4月にはさらに4%の値上げが予定されています。
前橋市水道局の「お知らせ」(以下の画像)にあるように、人口減少や節水機器の普及により水道料金収入は減少の一途をたどっており、高度成長期に整備した水道施設は老朽化により更新費が嵩んでいます。
●前橋市水道局の「水道料金改定に関するお知らせ」(2021年10月~2022年4月1日の期間に市民に配布)より
◆群馬県東部地域の水道統合
八ッ場ダム事業の負担金が水道の経営を圧迫しているのは、東部地域でも同様です。
太田市、館林市など8市町は、水道事業を統合し、広域化することで難局を乗り切ろうとしています。それでも水道料金の値上げは避けられず、8/3付けの以下の上毛新聞記事によれば、2026年6月に予定している水道料金の統一後、水道料金は全体で平均15%程度上昇する見通しとのことです。
八ッ場ダム事業への参画は水道事業にとって不要であったことは一目瞭然ですが、水道料金の値上げを伝える報道が八ッ場ダムとの関係に触れることはありません。
水道料金をめぐるこうした状況は、群馬県だけでなく八ッ場ダムの利水事業に参画した東京都、埼玉県、千葉県、茨城県でも同様のはずです。
関連記事を一部引用します。
◆2022年8月3日 上毛新聞より
ー東毛8市町 水道料金 段階的に統一 財源確保向け26年目標ー
東毛8市町に水道水を供給する群馬県東部水道企業団は来年6月の検針分から、管内の市町ごとで異なる水道料金を段階的に改訂し、2026年6月をめどに統一する。約19万7千の給水世帯(約44万人)が対象。統一後の水道料金は、住んでいる市町や水道管の太さ(口径)の違いなどにより増減はあるが、全体で平均15%程度上がる見通し。人口減少などに伴い水道料金収入が減少する中、安定的に財源を確保することで水道関連施設の修繕・更新費に充てる。
平均15%値上がり
企業団は15年10月、太田、舘林、みどり、板倉、明和、千代田、大泉、邑楽の8市町が水道事業の安定化を目的に設立した広域行政組織。水道設備の効率的な利用や施設の統廃合、経費削減を進めてきた。
だが、人口減少や節水機器の普及などの影響で水道用水の使用量が徐々に減り、収入は減少傾向にある。
関連設備の老朽化も進み、水道管は20年度末時点で全延長の15.5%が法定耐用年数を超過。水道施設も31年度には半数が超過するとみられ、将来的な修繕・更新費の増大が懸念されている。(以下略)