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黒部川のダム排砂めぐり、57回目の評価委員会開催

 さる1月26日、国土交通省北陸地方整備局は黒部川ダム排砂評価委員会を開きました。
 黒部川は全国でも有数の流出土砂の多い川ですが、古くから水力発電に利用され、流域には5つのダムが建設されています。
 これらダム群の最下流部に位置する「出し平ダム」(1985年完成、関西電力)と「宇奈月ダム」(2001年完成、国土交通省北陸地方整備局)にたまった大量の土砂はヘドロ化し、洪水時にダムの放流水と共に黒部川を流れ下ることにより、河口のある富山湾に深刻な漁業被害をもたらしてきました。このため、二つのダムの「連携排砂」を行い、洪水時以外の時期にダムの土砂を流下させる試みが続けられており、連携排砂についてそのつど検討する委員会が開催されています。
 先月の委員会は実に57回目の開催でしたが、従来通り、委員会の結論は国交省の筋書きどおりのものでした。過去には富山湾の漁民らが排砂による被害をめぐって裁判に訴えたこともありましたが、ダムがある限り今後も漁業被害は続いていきます。

 黒部川の連携排砂と委員会の資料は、国土交通省黒部河川事務所のホームページに掲載されています。

 「黒部川におけるダムの排砂について」
 https://www.hrr.mlit.go.jp/kurobe/haisa/haisa.html
 
 関連記事を掲載します。

◆2023年1月26日 富山テレビ
 https://www.fnn.jp/articles/-/477051
 ー黒部川…去年の連携排砂にかわる放流「周辺環境への大きな影響見られず」排砂評価委員会ー

 黒部川の2つのダムに堆積した土砂の腐敗を防ぐために行われた去年の放流で、周辺環境への大きな影響はみられなかったと結論づけられました。
 海洋地質学などの専門家でつくる黒部川ダム排砂評価委員会で26日、まとめられたものです。

 黒部川の出し平ダムと宇奈月ダムの土砂を下流に流し出すための連携排砂は、去年の夏は雨が少なかったため実施できませんでした。
 そのため堆積した土砂の腐敗が進むのを防ごうと、土砂を排出するための専用のゲートを開けて新しい水を送り込む放流が行われました。
委員会では、この放流によって川の水質や生物への影響を与えるデータに大きな変動はなく、周辺環境への大きな影響はみられなかったと結論付けました。

 連携排砂を行う国土交通省と関西電力は、この評価を踏まえ、今後はより自然に近い形での連携排砂を目指したいとしています。

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 黒部川のダム排砂をめぐる裁判については。下記の関連資料もご参照ください。

ブログ「黒部川の排砂を考える!」より「出し平ダム排砂訴訟、漁業者と関電和解」

全国公害弁護団連絡会議HPより 「黒部川排砂被害訴訟 報告」

 関西電力の「出し平ダム」から排出されたヘドロ等の有機物が海底に堆積し、黒部川河口以東の海域においてヒラメやワカメが獲れなくなったとして、同海域で操業する漁業者らが、排砂の差止めや損害賠償等を求めた訴訟を起こしました。

 2008年11月26日、富山地裁は、関西電力に対し、黒部川河口東の海域で操業するワカメ栽培組合に対して約2,730万円を支払うよう命じる判決を言い渡し、一部勝訴しましたが、ヒラメ等の漁獲減少(=刺し網漁業者の損害)と排砂との因果関係は認めませんでした。

 2011年4月4日、名古屋高裁金沢支部で和解が成立しましたが、原告側が賠償請求を取り下げるかわりに、関電側が排砂の方法について漁業者の意見を聞くことで双方が折り合うというもので、漁業者らの実質敗訴でした。