川辺川ダムの水没地を抱える五木村について、地元紙が「緊急連載」と銘打って取り上げました。有料記事ですが紹介します。
ダム問題の中で最も深刻といえるのが水没予定地の問題です。川辺川ダム計画による水没世帯は528戸(川辺川を守る県民の会HPより)に上ったということで、八ッ場ダムの移転世帯(470世帯)を超えます。しかも川辺川ダムの水没予定地には、五木村の中心地が含まれていました。
半世紀を優に超える川辺川ダム計画に翻弄されてきた五木村は、2020年の球磨川水害以降よみがえった新たな川辺川ダム計画に同意していないことから、その意向が注目されています。しかし、連載(下)に書かれているように、ダム本体建設を始める際、水没予定地やダム建設地(川辺川ダムの場合は相良村)を抱える自治体の同意は法的には必要とされていません。
川辺川の新ダム計画は、旧計画とは異なり流水型ダムとなります。ダム建設地の地域振興と言えば「ダム湖観光」が定番ですが、「流水型ダム」ではダム湖観光は成り立ちません。記事にもあるように、村民からは洪水時に流木や土砂が流れ込む広大な水没地を不安視する声が出ています。
国と共に川辺川ダム計画を推進する熊本県は、「約20年間で100億円規模の財政支援をする方針を表明」。五木村がダムとセットでは受け入れられないと反発すれば、地域振興計画からダムの文言を削除するという低姿勢ぶりですが、ダム推進方針は変わりません。
こうした厳しい状況下、五木村の木下村長は、環境アセスの結果を見てダムへの賛否を判断するとしています。五木村の村長選は今年10月に行われることになっていますが、その時点ではアセスの最終結果は出ていない可能性があるとのことで、連載記事の末尾は、「村づくりの方向性が定まるかは見通せない。」としめくくられています。
◆2023年6月5日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1067909?check_logged_in=1
ー「このままでは村が消える 振興急いで」 ダムで疲弊、住民に危機感 【緊急連載 五木村 新たな局面㊤】ー
「このままでは村が消える。一刻も早く対策を進めてほしい」。4日、県や国が開いた五木村振興計画の説明会。村民は一様にダム問題で疲弊した村の現状に危機感を訴え、振興策を急ぐよう求めた。一方、振興計画から「流水型ダム」の文言が削除されたことには「本当にダム計画と切り離されたのか」と疑う声も相次いだ。
◆2023年6月5日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1068327
ー振興計画から文言削除も 県のダム推進姿勢変わらず 【緊急連載 五木村 新たな局面㊥】ー
◆2023年6月7日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1070339
ーダム着工のハードル アセス結果と地元合意が焦点【緊急連載 五木村 新たな局面㊦】ー