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1966年の旧川辺川ダム計画 廃止手続きへ、新ダム計画推進のため

 川辺川ダムについて、記事タイトルを見ただけでは意味が分からないニュースが流れています。
 球磨川の支流、川辺川に計画された川辺川ダムは、2008年に一旦は熊本県により白紙撤回されましたが、廃止続きがとられないまま、2020年の球磨川水害をきっかけに新たなダム計画として蘇りました。ダムの形式としては、旧ダム計画はアーチ式コンクリート、新ダム計画は重力式コンクリートでさらにダム堤に穴が開いている流水型という違いがありますが、ダム堤の建設地は旧計画も新計画も同じです。
 以下の記事は、ようやくダム事業者の国土交通省が旧ダム計画の廃止続きをとることになったと伝える内容ですが、一見すると川辺川ダム計画そのものがなくなるような印象を与えます。一旦はダム計画が中止になりながら、国土交通省が計画の廃止続きを取らなかったのは、ダム計画の復活をもくろんでいたからだと言われます。現時点で国が旧計画の廃止手続きを行うことになったのは、水没地を抱える五木村が新計画を受け入れたためです。

 どれほど時間がかかろうとも、ダム事業者は事業を前に進めます。ダムに反対する住民の命は限られており、時間がダム計画に味方するという事例がここでも繰り返されています。

◆2024年11月13日 RKK熊本放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/cac1cd6c788ef6d760f7e902046fef65d2379bdc
ー1966年の旧川辺川ダム計画 廃止へ 熊本県から国へ「廃止に同意」と回答方針ー

 国が1966年に発表した旧川辺川ダムの計画について、熊本県が国に対し、廃止に同意する意見を伝える方針を固めました。

 旧川辺川ダム計画は、1960年代に相次いだ洪水を受け、国が計画していました。

この計画では治水や利水なども目的でしたが、全国的な「脱ダム」の流れもあり2008年、当時の蒲島知事が白紙撤回しました。しかし、特定多目的ダム法(特ダム法)に基づく計画廃止の手続きは取っていませんでした。

その後、2020年7月豪雨を受け、国が川辺川に新たに流水型ダムを計画したことで、二つのダム計画が存在する形になっていました。

県によりますと、新たなダム計画を五木村の村長が受け入れたことや、環境アセスメントの手続きを11月11日に終えたことから、国に対し、旧計画の廃止について「異議はない」と回答する方針を固めました。

県は近く、県議会に議案を提出し、可決されれば国に正式回答をします。

◆2024年11月13日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20241113/5000023807.html
ー旧川辺川ダム計画を正式に廃止 県「異議なし」と国に回答へー

 2009年に国土交通省が建設の中止を表明した旧川辺川ダムについて、県は計画の正式な廃止に向け、国に対し「異議なし」と回答する方針を固め、関係議案を今月開会する県議会に提出することになりました。

 旧川辺川ダムは1966年に国が建設計画を発表した大規模ダムで、球磨川支流の川辺川に建設が予定されていましたが、2009年に国が建設の中止を表明していました。

 しかし、令和2年7月豪雨で流域に大きな被害が出たことを受け、県は方針を転換し、現在は流水型ダムの建設が予定されています。

 「特定多目的ダム法」では、ダムの基本計画を廃止する場合、関係する県の意見となる議会の議決が必要とされています。

 ただ県は、これまで流水型ダムによって一部が水没すると想定されている五木村の賛否が決まっていなかったことなどから、国に意見を回答していませんでした。

 しかし、ことし4月に五木村が建設受け入れの考えを示したことや、今月に入って環境アセスメントの手続きが完了したことを受け、県は旧川辺川ダム計画の廃止に「異議なし」と回答する方針を固め、今月29日に開会する定例県議会に関係議案を提出することになりました。

 県球磨川流域復興局は「流水型ダムについては、引き続き国や流域市町村と進捗や課題を共有しながら計画を進めていきたい」とコメントしています。