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二年ぶりの山元調査、渡良瀬川の鉱毒根絶めざして

 群馬県と栃木県の県境を流れる利根川支流の渡良瀬川は、足尾鉱毒事件が起きた川です。足尾銅山の鉱毒は明治時代の公害問題として有名ですが、今なお鉱毒が山や川を汚染する問題は続いています。
 群馬県太田市の市民団体「渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会」は定期的に現場の山元調査を行ってきており、このほど2年ぶりの調査が実施されたと地元紙が伝えています。
 紙面より転載します。新聞のサイトにも記事が掲載されています。→https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/562705

◆2024年11月13日 上毛新聞
ー足尾銅山を視察 設備管理状況確認 渡良瀬川鉱毒根絶期成同盟会ー

 足尾鉱毒事件の被害地域の住民らで構成する「渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会」(長島佳男会長)は12日、栃木県日光市の足尾銅山で山元調査を2年ぶりに実施した。同会幹部や太田市職員、研究者ら約20人が古河機械金属足尾事業所の鉱山関連施設を視察。鉱害防止設備の管理状況や運用方針などを確認した。

 参加者は、坑廃水を中和して有害物質を取り除く中才浄水場や、汚染物を貯留する簀子橋(すのこばし)堆積場、使用されなくなりコンクリートで補強された源五郎沢堆積場などを視察。設備の構造や災害時の安全性などについて事業所職員に質問した。

 視察後の質疑応答では、ドローンを活用した山間部の調査が十分に行われていない点などへの指摘があり、長島会長は「地震や集中豪雨など、何が起こるか分からない。リスク管理について見直す時期に来ている」と訴えた。事務所の柏原弘行所長は「経営資源には限りがあるため、優先順位を付けて対策を講じたい」とした。

 足尾銅山関連施設を巡っては、2011年の東日本大震災で源五郎沢堆積場から重金属を含んだ土砂が流出。直後に近くの渡良瀬川で環境基準の約2倍の鉛が検出された。事態を受け、同社は老朽化しつつある施設の補強や維持管理を強化している。(小林大輝)