さる3月2日、八ッ場あしたの会の19回目の総会を行いました。
総会後の集会では、ダム完成前から八ッ場ダムが抱える地質の問題を調査・分析してきた地質の専門家ら(当会の技術顧問団)による報告がありました。
この報告のうち、前半(パート1)のスライドを公開します。下の表紙の画像をクリックすると全スライド42枚をご覧いただけます。
スライドの一部を以下に表示します。
八ッ場ダムは5年前から運用を開始していますが、ダム建設地周辺には火山や温泉が多く、複雑な地質の問題を抱えています。
八ッ場ダムの水没地は、かつて千人以上の人々が暮らしていた土地でした。国は水没住民にダム計画を受け入れさせるために、ダム湖周辺の山を切り崩し、谷を埋め立てて、水没住民が暮らせる移転代替地を造成しました。このため、ダム湖は多くの住宅に取り囲まれることになりました。
ダムは季節ごとに水位を調節するため、これまでに建設されたダムの貯水池周辺では地すべり等が発生することが何度もあったのですが、住宅に囲まれた八ッ場ダムでは地盤の変動は地元の人々の暮らしを脅かします。
国土交通省もこのことを認識しており、ダム事業では地すべり等の安全対策に多くの事業費が注がれました。現在、ダム湖の周りには、地盤の変動を計測する機器が多数設置されています。
当会では、毎年地質コンサルタント会社が計測データをもとに国土交通省に提出している報告書を情報公開請求により入手し、専門家に分析していただいてきました。
八ッ場ダムは湛水開始からまだ5年しかたっていません。今回の報告によれば、今現在、危険が迫っている状況ではありませんが、地質の年代から考えれば5年間は一瞬に過ぎず、長い目でダムが周辺の地盤に与える影響を見てゆく必要があるということです。
報告後の質疑の時間に、八ッ場ダムが建設された吾妻川の水質についての質問がありました。以下のスライドは、その際、示していただいた地質図です。
八ッ場ダム上流は日本でも有数のヒ素の高濃度域であるということが、産業総合研究所がネット上に公開している地質図からわかります。草津白根山麓のヒ素は以前から問題視されてきましたが、吾妻川の最大支流である白砂川の水源である白砂山や三国山など、新潟県境周辺もヒ素が高濃度で検出されるということです。