八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

川辺川ダム計画、国が漁協に8億円余の補償金の案 提示

 国がダム建設を目指す際、障害となるものの一つに漁業権があります。川辺川ダム建設をめぐって、球磨川漁協への補償問題がニュースになっています。
 ダムが計画された河川が漁業資源に恵まれている場合、川漁師からなる漁業組合は、ダムによって生業が脅かされるとしてダム建設に反対しますが、推進側は漁業組合に仲間内のメンバーを送り込むなどして組合の結束を崩し、ダム事業者は補償金を積み上げます。いわゆる「札びらで頬を叩く」といわれる手法です。山形県の最上小国川ダムをめぐっては、ダム建設に反対した漁協組合長が推進側の圧迫に耐えかねて自死するという悲劇がありました。

 長年、川辺川ダムの建設に抵抗してきた球磨川漁協ですが、川漁師の高齢化や減少により、ダム反対を貫く本来の川漁師は少数派になってきているということです。

〈参考ページ〉川辺川を守る県民の会ホームページより
       「球磨川漁協とダム」

◆2025年6月28日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20250628/5000025605.html
ー川辺川のダム計画 国が漁協に8億円余の補償金の案 提示ー

 5年前の熊本豪雨を受けて、球磨川の支流の川辺川に計画されている流水型ダムをめぐり、国は、流域の漁業権を持つ地元の漁協に対し8億円余りの補償金の案を提示したことがわかりました。
漁協の関係者は取材に対し、「今回提示された額をもとに組合員の意見をまとめ、受け入れの賛否を決めたい」としています。

 川辺川の流水型ダムをめぐっては、建設する国がこれまでに環境への影響の調査などを実施していて、今後、地元の漁協に補償し、同意を得た上で、2027年度の工事の開始、2035年度の完成を目指しています。

 漁協によりますと、国はこのほど、球磨川流域に漁業権を持つ八代市の球磨川漁協に対し、8億円余りの補償金の案を提示したということです。

 今後、漁協は流域の10か所余りで組合員への説明会を開催して意見を聞くほか、ことし9月ごろを目指して臨時総会を開き、補償金や建設の受け入れの賛否を決める方針です。

 球磨川漁協は、「以前のダム計画の際の交渉と比べ、組合員数や漁獲高の減少など、状況の変化がある。今回提示された金額の案をもとに組合員の意見をまとめ、受け入れの賛否を決めたい」としています。

◆2025年6月29日 読売新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f5d19cf7017f899bb4a25c95dc5325ba9ef27c0
ー熊本県・川辺川流水型ダム計画、国が球磨川漁協への漁業補償額8億1200万円提示…組合長「妥当な数字」ー

 熊本県・球磨川の支流・川辺川で国が計画する流水型ダムを巡り、流域の漁業権を持つ球磨川漁業協同組合(同県八代市、正組合員数756人)は27日、国から提示された漁業補償額が約8億1200万円だったと明らかにした。堀川泰注組合長は「漁獲高や組合員数が減る中、妥当な数字ではないか」と評価した。9月上旬をめどに臨時総会を開き、受け入れを判断する。

 漁協によると、補償額で最も大きいのは工事期間中の川の濁りの影響に対する補償で約7億1180万円。ほかに堆積する砂の影響に約6375万円、試験湛水期間の漁業制限に対して約1863万円など。

 同日夜、八代市で行われた非公開の部会で組合員約30人に説明した。漁協は今後、7月26日までに計12か所で同様の部会を開いた後、臨時総会を開く予定。補償額の受け入れは、組合員の過半数が出席した総会で3分の2以上が賛成すれば可決される。

 廃止された旧川辺川ダム事業で示された補償額は、約16億5000万円だった。堀川組合長は会合後の取材に対し、流域での漁獲高の減少などに言及した上で、「8億円は良心的な積算だ。金額の交渉はしない。組合員に丁寧に説明したい」と話した。

 国は2027年度のダム本体着工を目指している。補償を巡っては、国土交通省川辺川ダム砂防事務所が16日、漁協の事務所を訪れ、理事会に金額を示していた。国は、土地収用法に基づく事業認定を国交相に申請。漁業権も対象に含まれるが、認定された後も任意の交渉に努めるとしている。

◆2025年6月30日 テレビ熊本
https://www.tku.co.jp/news/?news_id=20250630-00000001
ー川辺川への流水型ダム計画 国が球磨川漁協に約8億1000万円の漁業補償提示ー

 球磨川の支流・川辺川に国が計画している流水型ダムをめぐり、球磨川漁協に対し国交省が漁業補償額として約8億1000万円を提示したことが分かりました。
 これは、球磨川漁協が組合員を対象に6月27日から開いている説明会で明らかにしたものです。

 29日は八代市坂本町で説明会が非公開で行われ、執行部側が組合員に国交省から提示された約8億1000万円の漁業補償の内容について説明しました。
 それによりますと金額の内訳は建設工事期間中の川の濁りによる影響への補償が約7億1200万円。砂の堆積による影響への補償が約6300万円などとなっています。

 廃止された旧川辺川ダム事業で示された補償額約16億5000万円と比べ、半分以下になっていますが、堀川 泰注 組合長は「組合員、漁獲高ともに減少していることを踏まえると理解できる額」と述べ、金額の交渉は行わない考えを示しました。
 漁協は9月までに臨時総会を開き、漁業補償を受け入れるか判断する方針です。

◆2025年6月27日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1813521
ー漁業補償額は8億1千万円 球磨川漁協、組合員への説明始める 川辺川の流水型ダム事業ー

 球磨川支流の川辺川(相良村)に国が計画している治水専用の流水型ダムについて、球磨川漁協(八代市、正組合員約750人)は27日、国土交通省から提示された漁業補償額が約8億1千万円と明らかにした。補償問題に関する組合員説明会で、堀川泰注組合長…(以下略)