八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

JR吾妻線、開業80周年を祝う

 敗戦の年、1945年元旦に運行を開始した吾妻線は、今年80周年を迎えました。
 開業当時の名称は長野原線といい、上越線の渋川駅と長野原駅(現・長野原草津口駅)を結ぶ線路は、戦時中に開発した群馬鉄山で採掘した鉄鉱石を川崎に輸送するため、突貫工事で完成させた軍事目的専用路線でした。1965年、群馬鉄山は閉山されましたが、吾妻線は沿線住民や観光客の足として活躍し、嬬恋村の大前まで延伸されました。

 八ッ場ダム事業では吾妻線の川原湯温泉駅前後の区間が水没したため、375億円余をかけて鉄道の付け替えと川原湯温泉駅の移転が行われました。吾妻渓谷の深い谷底を走っていた線路は大部分がトンネル区間となり、そこだけ都心の地下鉄に乗っているような気分にさせられます。
 八ッ場ダム事業完了後は赤字路線としてニュースに取り上げられることが多くなり、長野原草津口駅~大前間の廃線が検討されています。

 JR東日本高崎支局では8月3日、80周年を記念して特別列車を走らせ、沿線の観光業者も乗客を歓迎したとのことです。かつては多くの観光客が訪れ、特急列車も停車した川原湯温泉駅は忘れられてしまったようで残念です。

 関連記事が地元紙に掲載されました。

◆2025年8月3日 上毛新聞(紙面より転載)
ー群馬のJR吾妻線が80周年記念 臨時列車 各駅で歓迎ー

 群馬県内を走るJR吾妻線の80周年を記念する臨時列車が2日、高崎―長野原草津口間で運行された。通常は主に千葉を走り、自転車を載せられる「B.B.BASE」が群馬に初登場。乗客は渋川、中之条、長野原草津口の各駅で地元の歓迎を受けた。

 中之条駅(群馬県中之条町)では、同日始まった祇園祭のおはやしで出迎えた。駅のロータリーではあがつま中央高の生徒が開発した「焼かない焼きまんじゅう」を販売、キッチンカーも出店した。

 橋本のぞみ駅長は「観光や交流の架け橋として、80年の節目を迎えられたのは地域の皆さまのおかげ」と感謝。外丸茂樹町長は「大勢の方に吾妻線に乗ってもらい、中之条が誇る四万、沢渡、六合の温泉を訪れてほしい」とあいさつした。

 臨時列車の乗客は事前予約した20歳以上のみで、群馬の地酒が提供された。吾妻線に乗るのが初めてという名古屋の男性(62)は「沿線の景色が素晴らしい。日本酒も満喫できて最高」と上機嫌で写真撮影していた。

 吾妻線は1945年、渋川ー長野原(現長野原草津口)間で長野原線の名称で開業。その後、71年に大前(嬬恋村)まで延伸した際、吾妻線と改称されて現在に至っている。