八ッ場ダム本体準備工事の現場、吾妻渓谷では梅雨の増水によって、仮締切工事の堰が流され、工事が事実上ストップしています。
6月26日に太田国交大臣が八ッ場ダム予定地を視察し、27日には報道関係向けの現地見学会が行われましたが、いずれのイベントでも、国交省八ッ場ダム工事事務所は吾妻渓谷の工事現場を案内していません。
◆2014年6月26日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20140626/CK2014062602000148.html
ー八ッ場ダム 仮設の堰 流されたー
本体工事の準備が進む八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の建設予定地を太田昭宏国土交通相が二十五日、就任後、初めて視察し、「今年中に着工する。予定に変わりはない」と明言した。一方、本体工事のために吾妻川の流れを一時的に変える仮設の堰(せき)が大雨で流されており、工事の遅れを懸念する声もある。 (伊藤弘喜、山岸隆)
「今年いよいよ本体工事に着工する」。町内の山村開発センターで大沢正明知事や長野原、東吾妻の両町長、県議らと会談した太田国交相。こう断言して大きな拍手を浴びた。大沢知事と萩原睦男長野原町長は、ダムの早期完成や、渋川から長野原を通って草津へ抜ける「上信自動車道」の整備を求める要望書を国交相に渡した。
萩原町長は「誰もがダムができてよかったと思える街づくりをすることが、もがき苦しんだ先人たちに報いることだ」と住民の苦渋の決断に触れた。一行はダムで水没する川原湯地区の住民の移転先「打越代替地」や、水没する川原湯温泉駅の新駅舎なども回った。
◆石垣流出 「国はきちんと説明を」
今年四月に吾妻川で始まった堰を設ける仮締切(かりしめきり)工事。本体工事に向け、川底で作業できるように河川の流れを止め、下流に迂回(うかい)させるためだった。
しかし、国交省八ッ場ダム工事事務所によると、業者が設けた仮設の石垣は四月末と五月中旬、六月上旬に降った大雨で徐々に流出。今月十二日には完全に崩れていたという。
十七日に開かれた長野原町議会の八ッ場ダム対策特別委員会や、地元住民を交えた水没関係五地区連合対策委員会で、国側から流出の説明はなく、配布資料には流出前の石垣の写真が掲載された。
特別委に出席した牧山明町議は「仮締切工事はもう終わったと思っていた。きちんと説明すべきだ」と国の対応に首をかしげた。
八ッ場ダム工事事務所の伊藤和彦副所長は、「用意していた資料がそうなっていた。石垣は仮設で崩れることも想定内だった」と釈明。仮締切工事の工期は七月末まで。国は「予定に変わりはない」と言い張っている。
建設に反対している市民グループ「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「堰の施工業者や国の管理はずさん。ダム関連のさまざまな工事が遅れており、その典型」と、当初予定の二〇一九年度のダム完成を疑問視し、費用が膨らむことも懸念。ダムで水没する川原湯温泉街の近くで乳業を営む豊田武夫さん(62)は「ダム建設予定地は地盤がもろく、土砂崩れの危険性があり、ダムをつくるべきではない」と話した。
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仮締切工事の状況について、こちらのページに詳細を載せています。
https://yamba-net.org/wp/?p=8041