八ッ場ダム事業による吾妻線の付け替えに伴う川原湯温泉駅の現駅舎についての記事です。
◆2014年9月12日 朝日新聞群馬版
http://digital.asahi.com/articles/ASG9C4V58G9CUHNB009.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG9C4V58G9CUHNB009
ー築70年、木造駅舎にお別れ 川原湯温泉駅ー
JR吾妻線の川原湯温泉駅(長野原町)が24日、現駅舎での業務を終える。八ツ場ダムができれば駅周辺が水没するためで、来月1日に新しい線路に切り替わるのに合わせ、高台の新駅舎で業務を再開する。築70年を超え、吾妻線唯一となっていた木造駅舎との別れを惜しみ、連日、多くの鉄道ファンらが訪れている。
先週末、川原湯温泉駅には大勢の鉄道ファンや家族連れが訪れ、ホームも人があふれるほど。駅舎やホームに入ってきた列車にカメラを向ける姿が見られた。
全国の駅を回って写真を撮っているという東京都練馬区の会社員真壁章一さん(64)は、20年前から川原湯に通っている。「いよいよとなると寂しい。新たな歴史を刻む新駅にもぜひ来たい」。埼玉県の大内悠河さん(18)は「古い駅や電車が好きなので、最後に見ることができて良かった」と話し、駅舎の写真を熱心に撮っていた。
駅舎内にある川原湯区事務局の金子典子さん(57)によると、駅がにぎわいだしたのはこの1カ月ほど。今月1日、JRが記念入場券(140円)を売り出すと、用意した700枚が3時間で売り切れたという。
吾妻線は、吾妻川に沿って谷底を走る。ダムは現駅舎の下流約800メートルに造られ、川原湯温泉駅や周辺の線路はいずれ深さ80メートルのダム湖の底に沈む。今秋の本体着工を前に、10月1日に岩島―長野原草津口間10・4キロが新しい線路に切り替わり、駅も現在より約70メートル高い造成地に移転する。
JR東日本によると、川原湯温泉駅(当時は川原湯駅)は1943(昭和18)年に建設され、46年に開業した。木造平屋建ての駅舎は、ほぼ当時のまま。20年ほど前まで温泉客や通勤・通学客ら1日150人を超える利用者があったが、最近は20人前後。県内で最も少ない駅の一つだという。
男性駅員(70)の話では、かつては3人の駅職員が常駐した。現在は委託を受けた温泉組合が管理し、JRのOB3人が交代で改札業務をしている。
25日から線路の切り替えと試運転が始まり、現駅での業務は24日が最後。25日は中之条―大前間、26~30日は岩島―大前間をそれぞれ運休し、いずれもバスによる代行運転をする。
駅の待合室では、23日まで吾妻線の四季の写真を展示している。(土屋弘、井上怜)