さる11月22日、国土交通省関東地方整備局は事業評価監視委員会を開催、八ッ場ダム建設事業の再評価も議題になりました。
各都県等からの同意を受けて、八ッ場ダム基本計画の五度目の変更を行うための再評価でした。
関連記事を転載します。
◆2016年11月24日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20161124100580001.html
ー八ツ場ダム建設「事業継続妥当」ー
国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会(委員長=朝倉康夫東京工業大教授)が22日、さいたま市であり、八ツ場ダム(長野原町)建設について「事業の必要性は変わっておらず、引き続き事業を継続することが妥当」とする整備局案を了承した。
監視委は、3年に1回程度、公共事業の再評価をすることが求められている。2019年度末に八ツ場ダムの完成が予定されているため、今回が最後の再評価となる見込み。
事業費が720億円増え5320億円となる基本計画の変更については、8月の委員会で報告されており、朝倉委員長は「やむを得ない」との考えを示したという。
—転載終わり—
当日の配布資料が関東地方整備局のホームページに掲載されています。
平成28年度 第7回 配付資料一覧
http://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/shihon00000174.html
●八ッ場ダムの資料2-2-① http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000660814.pdf
●八ッ場ダムの資料2-2-② http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000660815.pdf
今回の計画変更について、上記の資料2-2-①(8ページ)には次のように書かれています。
11月2日から開始された関係省庁との協議が終了すれば、計画変更が告示されることになります。
12ページには、事業費の主な増要因として以下の表が掲載されています。
今回の計画変更で最も増額幅が大きいのは、748億円から1163億円に増額された「ダム費」です。(「ダム費」の内訳は、その下の表に掲載されています。)
①の資料のその他のページの多くは、8月12日の事業評価監視委員会で各委員に配布された今回の事業費再増額についての説明資料と重複しています。
②の資料の多くは、これまでの事業評価監視委員会でも示されてきた、八ッ場ダムの費用対効果(B/C)をアピールする説明です。八ッ場ダム事業は再評価のたびに新しい費用対効果の計算結果が示されますが、治水、利水いずれにおいても効果が過大に評価されています。
今回示されたB/Cは6.3でした。費用対効果の数字は、2009年の事業評価では3.4でしたが、前回の再評価の際(2013年12月)、6.5に跳ね上がりました。(参考*(八ッ場ダム事業「継続妥当」国交省関東地方整備局の事業評価)2013年12月11日)
今回少し下がったのは、費用(事業費)が増えたからですが、事業費が720億円も増額されながらB/Cの下げ幅がさほどでもないのは、治水効果(洪水調節便益)の計算結果が前回より4000億円以上も引き上げられたからです。
下の表は、資料②の97ページに掲載されている「事業費の内訳」の「ダム費」の部分です。
578億7,200万円と最も金額の多い「雑工事」には、地すべり対策費や代替地の安全対策費、護岸工事費などが含まれています。
3ページには「八ッ場ダム事業の経緯」と題した年表が掲載されています。