八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

山口県の平瀬ダム、地すべり対策で事業費100億円増額へ

 安倍政権下では、八ッ場ダムをはじめとして全国でダム事業が推進されています。
 山口県が建設中の平瀬ダムもその一つです。

★山口県ホームページより 平瀬ダム
 http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a18600/hirase_dam/hirase_dam.html

 平瀬ダムは2012年12月、国交省が事業にお墨付きを与え、2016年2月から本体打設工事に入りました。しかし、以下の報道によれば、新たな地すべり対策が必要となり、事業費が100億円増える見通しとのことです。

 平瀬ダムの事業費は350億円→530億円→740億円と増え続けてきました。
 平瀬ダムの不要性、環境破壊などについては、以下の講演スライドをご参照ください。
 http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2013/12/f96224d42e31bbd274fd6c89489a5797.pdf
 「平瀬ダム問題を考える」2013年11月30日 嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)

◆2017年3月14日 朝日新聞山口版
 http://digital.asahi.com/articles/ASK3F4WVHK3FTZNB018.html
ー平瀬ダム、100億円増額へ 膨らみ続ける事業費ー

 岩国市の錦川で県が建設中の平瀬ダム工事に、新たに地滑り対策が必要になり、事業費が100億円増える見通しとなった。事業費は膨らみ続けてきた経緯があり、県財政が厳しさを増す中で、ダムをめぐる議論が起こる可能性がある。

 13日の県議会土木建築委員会で、県が明らかにした。

 平瀬ダムの地滑り対策をめぐっては、県が2003年度までに必要性を検討したところ、対策は必要ないとの結果がいったんは出ていた。だが、国は09年、地滑りに関する国の技術指針を改定。民主党(当時)政権下の10~12年には、ダムそのものの必要性の検証に入ったことから、13年から現地を踏査したり地質を調査したりしてきた。

 その結果、対策の工事が必要とわかり、国土交通省も昨年12月、一部の箇所について対策工事が必要との見解を県に示していた。

 県は13日の委員会で、他の事例を参考に「100億円程度になるのではないかと考えられる」と説明。「100億の桁になるのでは」とも述べ、さらに膨らむ可能性も示した。事業費の精査は7月ごろまでには終える見込みだという。

 平瀬ダムは、総貯水容量2950万立方メートルのコンクリートダムで、計画地は錦川上流域。錦川は流域面積889・8平方キロメートル、幹川流路延長約110・3キロメートルの県内最大の2級河川で、流域では台風による洪水で住宅への浸水被害が度々あった。田畑や工場、上水道向けの水源にもなっているが、夏場には渇水も起きるという。

 ダムは、住民からの要望もあり、県は73年度から建設に向けた調査を開始。88年度以降、用地交渉も進め、関連工事に入った。

 ただ、事業費はこれまで増え続けてきた。88年度は約350億円だったが、用地交渉がまとまったり工事の工法変更があったりして00年度には約530億円に。03年度には約740億円と当初から倍増し、昨年6月には、人件費の高騰を受け、さらに約1億5千万円上積みした。完成時期もずれ込み、当初の「00年度」から現在は「21年度」だ。

 地元では、自然を壊すとして反対運動も続いてきた。市民グループ「美しい錦川を未来へ手渡す会」の吉村健次代表は「山を整備すれば治水できるはずで、必要性を全く度外視している。バラマキのようで、話を強引に進めている」と批判している。(成沢解語)