長崎県の石木ダム事業は、予定地の地権者13軒がダムに反対しており、その必要性に大きな疑問が投げかけられています。
石木ダム事業の主目的は佐世保市への水道用水の供給です。佐世保市は石木ダムが必要であるという結論を導き出すために過大な水需要予測を立てており、市の水需給計画にはあまりにも多くの問題があります。
そこで7月8日、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は佐世保市長の朝長則男氏に以下の文書で、市の水需給計画の問題点を指摘し、これを抜本的に見直すよう求めました。
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佐世保市水需給計画の抜本的な見直しを求める意見書20130708
回答の内容は、要望書で指摘した問題に答えるものではなかった為、「科学者の会」では以下の公開討論会の申し入れ文書を本日、改めて送付したとのことです。
2013年8月1日
佐世保市上下水道事業経営検討委員会 委員長 後藤 惠之輔 様
委員 各位
「ダム検証のあり方を問う科学者の会」呼びかけ人
今本博健(京都大学名誉教授)(代表)
川村晃生(慶応大学名誉教授)(代表)
宇沢弘文(東京大学名誉教授)
牛山積(早稲田大学名誉教授)
大熊孝(新潟大学名誉教授)
奥西一夫(京都大学名誉教授)
関良基(拓殖大学准教授)(事務局)
冨永靖徳(お茶の水女子大学名誉教授)
西薗大実(群馬大学教授)
原科幸彦(東京工業大学名誉教授)
湯浅欽史(元都立大学教授)
賛同者 125人
佐世保市水道の新水需給計画に関する公開討論会の申し入れ
「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は去る3月11日に朝長則男佐世保市長に「佐世保市水道の新水需給計画についての意見書」を、7月8日に「佐世保市水道の新水需給計画についての意見書(その2)―長崎市・水需給計画と比べてあまりにも非科学的な佐世保市・水需給計画の抜本的な見直しを求める―」を提出しました。その要点はつぎのとおりです。
① 佐世保市水道の水需要は近年は減少の一途を辿っており、今後も人口の減少とともに縮小していくことは必至である。長崎市水道も水需要の動向は同じであって、長崎市は実績の傾向を踏まえ、水需要が長期的に減少していくとの予測を行っている。
② ところが、佐世保市は、水需要が将来は反転して一挙に急増していくという架空の予測を行っている。佐世保市が長崎市のように実績重視の科学的な予測を行わないのは、石木ダム計画への参画を理由づけるために他ならない。
③ さらに佐世保市が長崎市のように利用の実態に合わせて保有水源を正しく評価すれば、佐世保市水道の保有水源は大幅に増加するので、水需給に十分な余裕が得られ、石木ダムは全く無用のものとなる。
この意見書に対して、川久保昭・佐世保市水道事業及び下水道事業管理者から7月24日付けで文書による回答があったものの、「現時点において水需要予測の見直しは必要ないものと判断しています。」と答えるのみで、当会が指摘した問題点については一切の説明がなく「回答」の名に全く値しないものでした。
佐世保市水道の新水需給計画に関しては貴委員会が3月14日に市に答申書を提出し、その計画を承認しており、この計画の是非について貴委員会も重要な責任を負っています。
つきましては、佐世保市水道の新水需給計画について、貴委員会のメンバーと私たち「科学者の会」のメンバーが率直な意見交換、議論を行うことが必要と考えますので、その公開討論会の開催を貴委員会の各位に申し入れます。
公開討論会の日時、場所は相互の都合を調整したうえで決めたいと思います。
貴委員会の方々が学者の良心としてこの申し入れを受けることを強く要望します。
8月16日(金)までに文書でご回答ください。