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鉄鋼スラグ問題に関する衆院議事録(その2)

 八ッ場ダム事業で使われている有害資材(大同特殊鋼の鉄鋼スラグ)の問題について、石関貴史議員による質疑が今年2月19日の衆議院予算委員会に続いて、2月26日にも行われていましたので転載します。法律の観点から見て、どのような問題があるのかに焦点が当てられています。

 2月19日の議事録はこちらに転載しています。
 https://yamba-net.org/wp/?p=8439 

◆第186回国会 予算委員会第六分科会 第1号 平成26年2月26日(水曜日)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/003618620140226001.htm
 
 (衆議院議事録より該当部分を転載)
 
○石関分科員 日本維新の会の石関貴史です。
 環境大臣もこの前お出ましをいただいて、十九日の予算委員会で鉄鋼スラグというものの問題について質疑をさせていただきました。時間が限られていて尋ね足りないところがございますので、きょう、引き続きこの問題をまず最初にお尋ねをしたいと思います。
 この前、大臣にも御紹介いたしましたけれども、名古屋に本社のある大手の特殊鋼メーカーの大同特殊鋼株式会社、私の地元の群馬県渋川市に大きな工場がございます。ここの工場が鉄鋼の廃材を違法取引していたということで県の立入調査を現に受けている。この件についてでございます。
 この事件の概要について環境省としてはどのように把握をされているのか、まずお尋ねをいたします。

○梶原政府参考人(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) お答え申し上げます。
 本件につきましては、大同特殊鋼株式会社の鉄鋼スラグが逆有償、大同特殊鋼側から申しますと、お金がトータルとしては出ている形で取引がされているのではないかということで、本年一月二十七日に、大同特殊鋼の渋川工場に対して、群馬県が廃棄物処理法上に基づく立入検査を実施したと。それに引き続きまして、さらには、関連子会社の大同エコメット、あるいは群馬丸太運輸等についての立入検査をしたという案件でございます。
 廃棄物処理法上の観点からはそういうことでございますけれども、先般の国会での御質疑にも私はおりまして、その際に先生の方から詳しく御説明もございましたけれども、その鉄鋼スラグがさまざまな形で使用されている、そういう案件だというふうに理解をしております。

○石関分科員 では、重ねて、今御説明もいただきましたが、逆有償取引というんですね、私もこの事件を知って初めてこういう用語は知ったんですけれども、いろいろなコストの部分を合わせて、売った方が例えば管理費とかそういうものでまた払っているということがこの逆有償取引というものだと思うんですけれども、これ自体は、こういう取引をしても、奇妙には見えますけれども、法に触れることはないということでしょうか。

○梶原政府参考人(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) さまざまな取引形態があるかと思いますが、それぞれの取引形態について、これが違法であるとかこれが適法であるとかといったような判断をするものではございません。

○石関分科員 ただ、取引自体は違法ではないということなんですが、本来廃棄物として処理しなければいけない、相応のコストがかかるものを、再生資源だとこういうふうに偽って、偽装して売っていたということが結果としてこの逆有償取引という形になっているんですけれども、これ自体は、廃棄物であるべきものを再生資源として偽って売っていた、このことは、産業廃棄物の処理法とか、あるいは、関係するような法律に抵触をするということにはならないんでしょうか。

○梶原政府参考人(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 廃棄物の有効利用につきましては、現在、廃棄物処理法上におきましても、スリーRということで、これを推進しているところでございます。
 それで、今、リサイクル物が廃棄物処理法の適用になる廃棄物になるかならないかというところにつきましては、先ほど来から御指摘の、当該物の取引の状況が逆有償であるか否かというような観点、それに加えまして、物の性状、排出の状況、それと、通常の取り扱いの形態、それに、占有者の意思というものを総合的に判断をすべきものという判断が平成十一年の最高裁の決定で示されているわけでございます。
 したがいまして、逆有償であるかどうかといったようなことのみで判断することではないという整理にされております。
 今回の鉄鋼スラグにつきましては、今、群馬県におきまして、大同特殊鋼株式会社並びに関連子会社等について立入検査を実施して、そういったこれらの取引状況についても総合的に調査をいたしているところであるというふうに聞いております。
 したがいまして、現時点におきましては、その県の整理を踏まえて、廃棄物処理法の適用になるのかならないのかといったようなことを判断されるものというふうに考えております。

○石関分科員 この鉄鋼スラグですけれども、大臣はこの前答弁もいただいていますからよく御承知だと思うんですけれども、浮島政務官はこの鉄鋼スラグはどんなものだか御存じですか。

○浮島大臣政務官 詳しくは存じ上げてございません。

○石関分科員 多分知らないだろうと思って聞いてみたんですけれども、私も知りませんでした、この事件で。
 この鉄鋼の大同特殊鋼さん、これは大変大きなメーカーで、鉄鋼メーカーとしては大変評判のいいところだと承知しています。ただ、廃棄物について再生資源ということで売っていたものですが、これが今回の事件を引き起こしているということです。
 実際、鉄鋼スラグがどういうものかというと、砕石、小石みたいなものになっているんです。鉄鋼のいろいろ製造過程から出たものがそういうものになっていて、道路の路盤材等に今回は使われている、こういう事件です。ぜひ政務官も今後御承知おきをいただきたいと思います。
 この鉄鋼スラグから今回は、有害な六価クロムですとか弗素、六価クロムは発がん性がありますし、弗素というのは、中国で有名になった事件では、何か歯が破壊をされたとか骨がうんとかたくなっちゃう病気とか、こういうものが弗素の被害としては大変有名なものがあります。
 環境省が設けている六価クロムですとか弗素の基準というものがどうなっているか。特に、これが道路の路盤材として鉄鋼スラグが使用されている場合、どういう基準があるのか。あるいは、川とか池とか水道水、こういったところの六価クロムそれから弗素、環境省でそれぞれの、川はこうだとか、路盤材で使われていた場合は鉄鋼スラグがどうだとか、こういう基準をお持ちなのかどうか。あるのであれば、その基準を教えてもらえますか。

○平岡政府参考人(環境省大臣官房審議官) お答え申し上げます。
 六価クロム、弗素等の有害物質でございますので、これによる環境汚染を防止するという必要がございます。環境基本法に基づきまして環境基準というものを定めております。水質汚濁及び土壌汚染等についての、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準というものでございます。これらの基準を満たすような規制を行っていくということにしてございます。
 具体的に申し上げますと、これは六価クロムでございますが、土壌の環境基準としては、溶出基準ですけれども、〇・〇五ミリグラム・パー・リットルでありますとか、〇・〇五ミリグラム・パー・リットル以下ということで水質の環境基準を定めたりといったことをしております。

○石関分科員 私が知っている知識で事前に先ほど御説明しましたけれども、六価クロムや弗素というものが今の基準を超えて大量に摂取されたり触れたりするとどういうことが起こりますか、人体にということですけれども。

○平岡政府参考人(環境省大臣官房審議官) 先ほど先生の方からもお話しございましたように、六価クロムにつきましては、発がん性があるということで、グループ一、人に対する発がん性というものが毒性としてあるとされております。
 また、弗素につきましては、軽度の歯に対する斑状歯ということですとか、骨への弗素沈着による骨折のリスクの増加とか、そういったことが懸念されるということとされております。

○石関分科員 私が承知しているものと同じようなそういった害があるという御説明でよろしいですよね。
 ただ、今度は農水省の方にお尋ねしますけれども、群馬に群馬用水というのがあって、これは、管理しているのは独立行政法人水資源機構です。この群馬用水で、私も現地を見ましたけれども、用水があって、その横の人が歩ける道路というかバラス道、こっち側は田んぼ、畑になっているというところに、未舗装のバラス道ですけれども、このスラグ材と思われるものが敷き詰められているということです。歩いて、舗装されていませんから、子供も含めて当然手に触れることもできますし、当然、雨が降ればその水が用水路の方に入っていくというような状態になっています。
 農水省として、この実態について報告を受けていてちゃんと把握をされているのか、どういう把握をしているか、教えてください。

○三浦政府参考人(農林水産省農村振興局長) お答え申し上げます。
 まず、群馬用水で汚染物質を含む鉄鋼スラグが使用されている状況についての把握ということでございますけれども、お話にございましたように、独立行政法人水資源機構が管理している群馬用水で、平成十六年度から十八年度にかけて、大同特殊鋼株式会社の鉄鋼スラグを用水路の管理用道路の舗装材として使用した実績がある。その延長は、榛名幹線で〇・一キロメートル、赤城幹線で一・五キロメートルの計一・六キロメートルということであると承知をしております。
 水資源機構におきましては、早急に当該管理用道路に使用されました鉄鋼スラグ及びその道路の周辺の土壌について調査を行って、直近で聞いたところによりますと、三月下旬までに、判明する結果を踏まえて適切な措置を講じていく考えであるというふうに承知をしております。
 それから、先生のお話にございました農業用水との関係でございます。現場の形状ということでございますけれども、群馬用水の水路につきましては、まず水路自体がコンクリートで遮水された構造であるということ、それから、水路の側壁が管理用道路の路面より高くなっているということ、それから、管理用道路の勾配が水路の外側に向かって低くなっているという構造になっておりまして、一般的には、汚染物質が地下水あるいは雨水を通じて水路に混入するということは考えにくいという形状になっていると認識しております。
 ただ、農業用水につきましても、先ほど御説明になった環境基準に照らしまして確認していくということを念には念を入れてやるということが重要ではないかと考えておりまして、水資源機構におきまして必要な調査を早急に行って、その結果を踏まえた適切な対応をとるように求めてまいりたいと考えております。

○石関分科員 さすが役人だから一般的にとおっしゃいましたけれども、ここを現地に行ってごらんになりましたか。

○三浦政府参考人(農林水産省農村振興局長) 申しわけございません。図面、写真によって確認をしておりますけれども、私自身、現地には赴いておりません。

○石関分科員 何で行かないんだと言うつもりはないんです。
 ただ、一般的にとおっしゃったように、現に、例えば人が歩けば、むき出しですからそれをさわることもできるし、子供が遊びに行ってそこでごろごろしたらどうするのか、心配すれば切りがないし、非常に強い雨が降った場合には、今のような形状になっていたとしてもどういうことで水が入るかわからない、用水路ですから。コンクリートで遮蔽されていても、本当にそこに浸透していないのかどうか。
 下流で飲料水も含めてこの用水路を使っている皆さん、こういう皆さんにとっては、今の説明をされても、本当に大丈夫かと、こういう気持ちになるのが当然だと思いますし、また、これは今、計測を三月末までにするということでしたっけ。ちょっと正確にもう一回言ってください。

○三浦政府参考人(農林水産省農村振興局長) 説明が若干不十分で失礼いたしました。
 私が三月下旬までと申しましたのは、既にこの管理用道路それ自体に使用された鉄鋼スラグですとか、それからその道路周辺のスラグなり土壌、これについての調査を行って、これはもう三月下旬までに結果を出すということであると聞いておりまして、それが、先ほど申しました、三月下旬までに、判明する結果を踏まえて適切な措置を講じていく考えであると聞いているということを申し上げたところでございます。
 それで、農業用水の方はそういった調査にまだ入っておりませんので、先生の御指摘のような御懸念もあるということも十分踏まえまして、農業用水につきましても、この環境基準に照らして確認をしていくという、必要な調査を早急に行って、その結果を踏まえた対応をするように求めていくということとしたいということでございます。

○石関分科員 その調査を踏まえてこれは至急やっていただきたいということなんですけれども、調査の結果、基準を超えて危ないということになった場合、あるいは、何らかのものが検出されたけれども基準は超えていませんという場合、この敷き詰められているスラグというのは、それぞれの場合にどのように扱っていく、どうするつもりなんですか。

○三浦政府参考人(農林水産省農村振興局長) 調査の結果を踏まえてということになりますけれども、まず、緊急の措置としては、人が通らないような状態にするといいますか、通行どめにしてスラグに触れられないようにするといった対応をとる必要があるのではないかと考えておりますけれども、一部市道として使われているところもあるやに伺っておりますので、関係の自治体との協議、調整といったことも必要になるかと思いますけれども、そういった所要の手続を経た上で、そういった鉄鋼スラグに触れるおそれのないような措置をとるというようなことが、緊急の措置としては、仮に調査結果がそういうものを求めるようなものが出た場合の措置としては、考えられるところではないかと思っております。

○石関分科員 これは基準値を超えなければ大丈夫だということで、今お尋ねした中で後者の場合、その場合、そのままほっておかれてしまうんですか。それとも、誰かの責任で、そうはいってもこういういろいろ問題が見られる鉄鋼スラグというものなので、誰かがここを剥がして処理しようということになるのか。基準より下回っていれば、別に全然大丈夫ですということになってそのままになってしまうのか。どうなんでしょうか。

○三浦政府参考人(農林水産省農村振興局長) 現段階におきましては、調査がこれから結果が出てくる、あるいはこれから調査に入るものもあるという状況でございまして、今、それを踏まえた対応としてどうするということを決めているという状況ではございません。
 いずれにいたしましても、水資源機構を所管する国土交通省、あるいは、私ども農業用水を所掌しておりますけれども、水道水を所掌している厚生労働省、そういった関係機関と相談をいたしまして、適切な対応を検討していくということになろうと考えております。

○石関分科員 もともと普通の砂利でやっていればこんなそもそも心配もなかったし、調べる必要もなかったということです。用水路の横の道でこれを使っているわけですから、住民の皆さんの心配というのも考えた上で、いずれにしても、適切に、十二分に対処をしていただきたいというふうに思うということ。
 また環境省に戻って御質問いたします。
 今それぞれ御答弁もいただく中で、この事件の概要と、それからスラグがどういうものなのかとか、こういうことについてはよく把握をお互いにできたと思います。
 これはこの前の予算委員会でも同趣旨のことを質問していますけれども、まず、スラグに限らず、再生資材の汚染を直接に防ぐ、こういう法律は今のところ日本にはないのかな、こういうふうに承知をしていますが、こういう理解でいいのかどうかということ。
 例えば、水質汚濁ということになれば水質汚濁の防止法、土壌汚染ということであれば土壌汚染の対策法、廃棄物であれば廃棄物の処理法ということですが、今回のように、リサイクル製品です、再生資源ですということになれば、これが改めて廃棄物だという認定を受けるか、あるいは、今お話をして答弁をいただいているように、水や土への汚染というものが確認をされなければ規制の対象にはならないんだ、こういう私の理解で正しいかどうか、教えてください。

○梶原政府参考人(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 廃棄物をリサイクルしたものということになりますと、実際にそれによって環境保全上の問題が生じないかといったようなことも含めて、廃棄物から卒業しているかどうかというのを判断することになりますけれども、一旦廃棄物じゃないといったようなもの、それは通常の製品そのものでございます。
 どういったような材質を使って、どういった材料を使って製品をつくるかというのは、これはある意味事業者の自由なところでございますので、そういうプロダクツといったような概念になるものにつきましては、そういったような規制が今のところはないのではないかと思っております。

○石関分科員 今の御答弁によると、今回のまさに鉄鋼スラグのような、廃棄物として処理すべきものではないかと思われるんですが、今回はそのプロダクトになっているということで、今回のまさに鉄鋼スラグのような場合には、事前にプロダクトなんだということになれば、こういうふうに汚染されているものでも防ぐ手だてはない、こういうことですよね。

○梶原政府参考人(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長) 済みません、言葉足らずだったかもしれません。
 基本的には、廃棄物から卒業したものにつきましては、それはプロダクトとして概念するものでありますから、それについては廃棄物処理法からの外になりますということでございます。
 今回の件につきましては、先ほど答弁させていただいたところでございますけれども、群馬県が大同特殊鋼渋川工場並びに関連の会社に立入検査をしてございます。それで、その結果を今精査をしているというような段階だと聞いております。
 したがいまして、本件が廃棄物になるのかならないかについては今精査中で、まだ判断が出されていない段階であるということでございます。

○石関分科員 今回のように、立入調査をして実際廃棄物だということになれば対処ができるけれども、さっきおっしゃったように、最初からプロダクトなんです、再生資源なんですということになっちゃうと、だから事前に防ぐものはないんですね。これはこれでいいわけですね。
 それで、今おっしゃったように群馬県が調査をしているということなんですが、アメリカの例でスーパーファンド法というのがあるので、これについてお考えをお聞きしたいと思います。
 このアメリカのスーパーファンド法、非常によくできた法律だなと思うんですが、日本の場合は、今のように、今回は群馬県ですが、調査をします。汚染が見つかったら自治体が調査をするという仕組みになっている。汚染の浄化というのは、見つかった場合には、基本的には地権者が行って、その費用、コストについては汚染の原因者に請求することができる、こういうふうに日本の法律ではなっています。
 これと違ってアメリカのスーパーファンド法というのは、連邦政府の環境保護庁、ここが強制的に調査を実施できる。汚染土壌の浄化もここが行います。そして、その費用を原因を発した人に請求をする。まず、誰の責任なんだという前に国の責任できれいにして、そして、その後の費用は請求をする。こういう仕組みだというふうに思っています。日本の今の法律、制度に比べると、非常にスピーディーで、まず危ないものを除去する、これができる法律なのかなというふうに思います。
 今回の場合は、地権者が業者に対して、汚染の原因が再生資材でありますよということをまず認めさせた上で、そして、賠償金額についてもその人が争わなければいけないということになるというふうに思います。
 この日米の法律、制度の違いというのは、私の今お話ししたような認識で正しいのかどうか、教えてください。

○平岡政府参考人(環境省大臣官房審議官) 米国の連邦スーパーファンド法でございますけれども、一九八〇年に制定されていまして、先生御指摘ございましたように、国が区域を指定し浄化をするということで、汚染原因者が負担して実施するということは基本でございますが、汚染原因者が不明等の場合には、環境保護庁自身が費用を基金から用いて汚染の除去等を行うというような仕組みでございまして、我が国の場合は、責任については同様だとは思いますが、一義的には、必要な措置については都道府県知事が事業者に対して指示をするという形でございます。それに対して、事業者に対する助成というものの制度は持ってございます。

○石関分科員 大臣にお尋ねをします。
 今、やりとりも、改めてこの前の予算委員会に引き続いて分科会でも聞いていただきましたけれども、被害を受けた人の立場に立ってみたら、どういう言葉が適切かわかりませんけれども、日本の場合には随分まどろっこしいし、時間もかかるし、大変だなというふうに印象を受けます。
 アメリカはこのスーパーファンド法というものがあって、とにかく迅速だし、わからない場合も、この法に基づいて連邦政府の方がまず手を下すということですが、今御紹介をしたようなこの鉄鋼スラグの事件、同種のものが恐らくいろいろあるんだろうというふうに思います。新しい法の整備をして、アメリカをまねしろとは言いませんけれども、参考にしながら、迅速な手だてが講じられるような、そして、被害をこうむった人の立場に立ったような新しい法制度の仕組みをつくる、こういったお考えはございますでしょうか。

○石原国務大臣 アメリカの場合は、信託で、税を特別な有害物質を出すところから最初のうち取ったんですね。それで根っこのお金ができた。今、日本の中で、残念ながら、そういう目的税をつくるような産業はないと思います。そうしますと、一般財源から補填しなければならない。ということは、信託をする意味というのは日本の場合はないんだと思います。
 委員の御指摘は、やはりグレーのときですよね、グレーのときにどうするかというお話だと思います。黒だと決まれば、間違いなく日本の今の法律体系で処理することができます。
 今回の事例に限って言うならば、汚染者負担の原則を最後まで貫くことはできるわけですね、上場企業でありますので。ただ、日本の法律も、調べてみますと、まだ決まっていないうちに都道府県知事が先に指令をして、有害であるということで除去して後から求償するという仕組みも、実は法律の中に入っています。しかし、日本はすぐ原因者が特定できていますので、原因者の側に言えば大体の場合払っているというケースがあります。
 今回のケース、調査をするということでございますので、それを見まして、どの程度の環境影響があるのかないのかを見きわめて、問題の推移を慎重にしっかり見守っていきたいと思っています。

○石関分科員 大臣、ありがとうございます。