川原湯地区の打越代替地に八ッ場ダムの資料館が8月に開設し、昨日は対岸の川原畑地区の代替地で展望台の開設セレモニーが開かれました。
資料館は二地区の代替地を結ぶ、八ッ場大橋の川原湯側のたもとにあります。資料館は国交省と本体工事業者が建設したということですが、左右に並ぶ本体工事業者の事務所と同じプレハブで、資料館というにはあまりに簡素で急ごしらえの感を否めません。内部は無人で、かつて水没予定地にあった八ッ場ダムのPR館「やんば館」に掲示されていたパネル(写真右)や本体工事についての簡単な説明パネルが掲げられており、川原湯温泉の旅館のパンフレットなども置いてありました。
写真下=右手の小さなプレハブが資料館。外に自動販売機とゴミ箱、空調の室外機が設置していある。左手奥の大きな建物はダム本体工事業者の事務所。
川原畑地区の展望台は、もともと尾根の先端部にあった小山を利用したもので、坂道や手すりを整備してあります。川原湯の資料館は、開設後も閑散としており、対岸の付け替え国道を行き交う観光客を川原湯に引き寄せるだけの力がありませんが、川原畑の展望台はニュースでも取り上げられましたので、人が集まり、周辺の飲食店の賑わいに貢献するかもしれません。(写真右=基礎掘削工事の発破が行われることを知らせる飲食店前の看板)
写真下=展望台「やんば見放台」
展望台の開設式典は昨夕のNHKニュースで早速取り上げられ、今朝の紙面でも取り上げられていますが、10分ほどのセレモニーの前に国交省と水没予定地の住民との間にあったトラブルのことはどこも取り上げていません。有害な鉄鋼スラグが代替地に大量に使われていることに抗議する立て看板を住民が式典に持ち込もうとしたところ、国交省職員がこれを体をはって阻止したということです。
川原畑地区の代替地は酸性熱水変質帯が広く分布している土地で、地すべり等による災害が懸念されています。展望台からよく見える八ッ場ダム本体工事の作業ヤードの切り土の斜面でも熱水変質帯の地層がよく見えます。展望台の背後を走る付け替え国道の法面は酸性熱水変質帯によって赤茶けており、縁石などが変形していることから、昨年9月より群馬県が地すべり調査を実施しています。
展望台の開設を伝える記事によれば、国交省八ッ場ダム工事事務所は昨日、八ッ場ダムの本体工事の最初の段階である基礎掘削工事の進捗率を3割と説明したということです。同事務所は7月30日の報道向け現場説明会でも、基礎掘削は予定の約60万立方メートルのうち18万立方メートル(3割)を削り込んだと説明しています。(7/31付け朝日、毎日各群馬版)
◆2015年9月3日 NHK前橋支局
http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1064509211.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
ー八ッ場ダムの展望台 オープンー
長野原町に建設が進む八ッ場ダムの工事を一望できる展望台が完成し、地元の住民などが工事の様子を見学しました。
この展望台は、八ッ場ダムの工事を進める国土交通省が設けたもので、2日は、展望台を披露する式典が開かれ、招待された地元の住民など40人余りが出席しました。
展望台は、工事現場から30メートルほどの高さに設置され、ダムの工事現場を一望できます。
出席者らは、展望台に登ると、爆薬で山の斜面を崩す「発破」の作業の様子を見学しました。
また、展望台には、発破の音の大きさを測定する機械が設置されていて、出席者らは、マイクに向かって大声を出し、自分の声と発破の音の大きさの違いを比べていました。
工事事務所では、展望台を設置することで、ダムの建設への理解を求めたいとしていて、ダム本体を設置するための斜面を切り崩す作業は、これまでに30%程度が終了しているということです。
国土交通省八ッ場ダム工事事務所の矢崎剛吉事務所長は、「展望台が地域を訪れるきっかけになってほしい。訪れた方々に楽しんでいただき、地元が元気になってほしい」と話しています。09月02日 16時37分
◆2015年9月3日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/articles/ASH92313NH92UHNB001.html
ー八ツ場ダム本体工事を間近に 展望台完成ー
八ツ場ダムの本体建設工事を間近に見下ろすことができる展望台「やんば見放台」が完成し、国土交通省八ツ場ダム工事事務所は2日、オープン式典を開いた。ダムサイト上流左岸側の長野原町川原畑地区の高台にあり、一般に開放され、自由に見学できる。
矢崎剛吉・工事事務所長は式典で「世紀の大事業を皆さんに見てもらいたい。展望台を活用し、色々な人にダムを訪れてもらえるようにしたい」とあいさつした。式典後、地元住民らは、工事現場斜面の硬い岩盤を爆薬で砕く「発破」作業を展望台から見学した。
国交省によると、掘削の進捗(しんちょく)率は約3割。2019年度予定のダム完成後も展望台は常設する予定だ。
◆2015年9月3日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20150903-OYTNT50003.html
ー住民の要望 形に…八ッ場に展望台ー
八ッ場ダム本体の工事が進む長野原町川原畑で2日、展望台「やんば見放台みほうだい」の披露式が開かれた。
展望台は本体掘削工事が行われている左岸にあり、高さ約20メートル。本体工事の様子を見ることができる。完成後は、ダムそのものを間近で眺められる。
披露式では、国土交通省八ッ場ダム工事事務所の矢崎剛吉所長が「多くの方に集まってもらい、この大事業を見ていただきたい」とあいさつ。この後、川原畑の住民ら約20人が展望台に上がり、右岸の岩盤の発破作業を見学した。
住民らでつくる川原畑八ッ場ダム現地再建対策委員会は「新たな観光資源にしたい」と、展望台の設置を要望していた。委員長の野口貞夫さん(71)は「要望が形になって良かった。ダムについても、一日も早く完成させてほしい」と話した。
◆2015年9月3日 上毛新聞
ー八ッ場ダム本体工事 基礎掘削3割進む 現場一望の展望台完成ー
八ッ場ダム(長野原町)の本体工事に関し、国土交通省八ッ場ダム工事事務所は2日、基礎掘削が30%以上進んだことを明らかにした。基礎掘削は1月に始まり、来年5月までに完了する予定。同日からは工事現場や水没予定地、対岸などが一望できる展望台が利用できるようになった。
展望台は、ダムサイト上流で左岸側の川原畑地区にあり、高さは約18㍍。6月に工事を始め、2ヶ月ほどで仕上げた。「思う存分、大規模な建設現場を見てほしい」(同事務所)との思いから「やんば見放台」と名付けられた。
最上部からは、ダイナマイトや大型の重機を使って掘削する現場の様子や、右岸側の川原湯地区、八ッ場大橋(湖面1号橋)などが見渡せる。同事務所の矢崎剛吉所長は式典で「世紀の大事業をしっかり見ていただきたい」と述べた。
観光で訪れた男性(60)=埼玉県朝霞市=は、「見晴らしがすばらしい。ダムの工事も順調そうだし、ここまで来たら早く完成させるべきだ」と語った。
八ッ場早期完成 国交相に要請 長野原町長ら
長野原町の萩原睦男町長は2日までに、国土交通省を訪れ、太田昭宏国土交通相に、八ッ場ダム(同町)の本体や生活再建事業の早期完成を求める要請書を手渡した。
出席者によると、太田国交相は事業を着実に進めるなどと応じたという。町議や地域住民の代表らが同行した。
*展望台「やんば見放台」からの眺望の動画、写真等を以下のページに掲載しています。
https://yamba-net.org/wp/?p=12205