八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

展望台「やんば見放台」からの眺望

 9月2日に国交省が開設した展望台「やんば見放台」から見えるダム本体工事、水没予定地、川原畑地区の代替地などを撮った動画をアップしました。

    

●展望台「やんば見放台」の全景
 ドッグランとやんば見放台.jpgトリミング.jpgs

●吾妻渓谷両岸の発破作業
 吾妻渓谷の上流部では、左右両岸でダム本体工事の第一段階である「基礎掘削」の発破作業が行われています。赤い丸印のあたりの岩盤に火薬を仕掛け、発破が行われています。
キャプチャ
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 左岸の本体工事現場は、八ッ場沢を挟んで展望台「やんば見放台」の正面に位置するのですが、樹木が眺望を遮っており、展望台から下りてダムの看板が立っている町道のあたりから眺めた方がよく見えるかもしれません。
 八ッ場ダムが完成すると、現在は作業ヤードとして使われているこの場所にダムを管理する事務所が建つようです。山の斜面の地層は、灰色、黄土色、白褐色などのまだら模様で、この地域特有の酸性熱水変質帯です。
左岸作業ヤードの眺望.jpgs

 展望台からは、ダム本体工事現場の上流側に広がる川原湯地区の水没予定地や住民の移転代替地もよく見えます。
 川原湯温泉駅があったあたりは、駅舎も周辺の建物もみな解体されて更地になっていますが、吾妻渓谷の入り口だった場所に川原湯温泉の住民が立てた「なつかし あたらし 川原湯温泉」の看板は、今も元の場所に立っています。(黄色い丸印) 青いブルーシートが掛かっている場所では、遺跡の発掘作業が行われています。
 川原湯の打越代替地は、もともとは尾根と沢とが交互に連なっていた山腹を大規模に人工造成した土地です。代替地の中でも本体工事現場に最も近く、休日以外は夜間も続く本体工事の騒音、振動が住民の生活を脅かしています。代替地の中心部には本体工事業者の事務所も並んでいます。
キャプチャ.PNG3

 下の写真は、展望台から川原畑地区の代替地を見下ろしたものです。展望台のある川原畑地区は、吾妻川を挟んで川原湯地区の対岸になります。農村地帯の川原畑地区は、温泉街を抱える川原湯地区より人口が少なく、集落も小規模ですが、ダム事業による付け替え国道が山の裾野に建設されたことから、交通量の多い地域になりました。

 正面の山と手前の展望台の山は、代替地ができる前は同じ一続きの尾根でした。住民の移転地として造成された代替地に飲食店やドッグランができています。もともと観光地であった対岸の川原湯地区が賑わいから取り残される中、川原畑地区はNHKによる展望台オープンのニュースも影響してか、観光客が増えています。
 しかし、付け替え国道は酸性熱水変質帯の影響により法面が赤茶け、縁石に亀裂が入るなど変形し始めており、群馬県が昨年9月から地すべり調査を行っています。地すべりの地層は周辺一帯に広がっており、代替地の安全確保の面からも注視していく必要があります。
展望台から山側を見下ろす.jpgs

やんば見放台の看板.jpgs