八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

大同特殊鋼の有害スラグ、問題解決に程遠く

 (株)大同特殊鋼が排出してきた有害スラグの問題が発覚してから2年余り、群馬県は9月7日、同社など三社を県警に刑事告発し、国と群馬県、渋川市の三者は11月26日、対応方針案を発表し、大同特殊鋼に処理費用を全額負担要求することになりました。
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000260.html#gidai1

 しかし、その後も問題の解決に向けた有害スラグの撤去作業は進んでいません。

 11/26付けのしんぶん赤旗によれば、共産党群馬県委員会が省庁交渉の中で国交省に対して八ッ場ダムの住民移転代替地にも未処理のスラグが無許可で使われていることを指摘し、早急に詳細な調査をし、撤去するよう求めたところ、国交省の担当者は、「宅地造成地にスラグを使うのは考えられない、と答えました。」とのことです。

 酒井宏明群馬県議のブログより
 http://blog.goo.ne.jp/gk-sakai/e/09aab2df90591f29984541ae7f70aafd
キャプチャ赤旗

 けれども、現在も八ッ場ダムの住民移転代替地にはスラグがあり、八ッ場ダム事業を進める国交省関東地方整備局八ッ場ダム工事時事務所の対応は及び腰です。

 最初に有害スラグの問題が発覚した渋川市議会では、この問題を追及してきた角田喜和議員が12月3日、「違法な産業廃棄物であればすべて処理すべき」と訴えましたが、渋川市の姿勢も依然として及び腰です。

◆2015年12月4日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/articles/20151204/ddl/k10/040/371000c
ー鉄鋼スラグ問題 「産廃と特定できない」 渋川市 /群馬

 大同特殊鋼渋川工場から出た鉄鋼スラグを巡って渋川市は3日、「現状でスラグは産業廃棄物と特定できない」として、環境基準を超えるフッ素、六価クロムが確認された件についてのみ処理する方針を示した。市議会一般質問で「違法な産業廃棄物であれば環境基準にかかわらず、すべて処理すべきではないか」と問われ、市側は「産廃か否か、まだ司法の判断も示されておらず、国、県との連絡会議での合意に基づいて処理する」と答弁した。

 大同特殊鋼は、スラグに有害物質が含まれていることを認識しながら「建設資材」と称して出荷した廃棄物処理法違反の疑いで9月11日、県警の強制捜査を受けている。

~転載終わり~
 
 大同特殊鋼が排出したスラグが「違法な産業廃棄物」であることは、すでに9月11日に群馬県廃棄物リサイクル課が認定していることです。
 http://www.pref.gunma.jp/houdou/e1700084.html

 有害スラグ問題を追及してきた市民オンブズマン群馬のブログでは、群馬県の見解を裏づける環境省による国会答弁や通知も取り上げられています。
 http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1822.html

 昨日の渋川市議会では、大同が費用を負担することを定めた基本協定を締結することが明らかになった、と報道されています。
 (株)大同特殊鋼が排出したスラグが使用されたことが判明した72の工事箇所のうち、49箇所で環境基準を超えるフッ素、六価クロムを検出。このうち9箇所のみ撤去、8箇所は被覆済み、残り32箇所と環境基準を下回った小中学校の敷地内4箇所も被覆で済ませると決まったということです。

 ここで示されている環境基準は、他の砕石と混合させた上で計測した結果です。本来、鉄鋼スラグは単体で環境基準を満たしているかどうかを判断しなければなりません。また、被覆処理ではスラグそのものは残されることになり、将来にわたって地下水調査などを継続し続ける必要があります。

 (株)大同特殊鋼の企業城下町と言われる渋川市にとって、同社への負担をできるだけ少なくしたいという意向が働くことは想像に難くありませんが、撤去を最小限にする対応は市民生活の安全という観点から見て、問題解決から程遠いと言わざるを得ません。

◆2015年12月10日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/articles/20151210/ddl/k10/040/009000c
ー鉄鋼スラグ問題 大同負担で渋川市が処理、基本合意 /群馬

 大同特殊鋼渋川工場から出荷された鉄鋼スラグを巡って、渋川市は9日、市発注工事で使われたスラグの撤去や被覆にかかる費用負担について大同側と基本的に合意したと市議会で明らかにした。今後、市が処理し、大同が費用を負担することを定めた基本協定を締結する。

 渋川市では、大同のスラグ使用が判明した市発注工事72カ所のうち49カ所で環境基準を超えるフッ素、六価クロムが検出された。49カ所中8カ所はすでにスラグ使用部分を覆う被覆処理がなされているが、残る41カ所と環境基準値以下の小中学校4校で撤去または被覆処理を進める。市と大同が協議し、処理を市が担い、調査や撤去・被覆、復旧工事にかかる費用を大同が負担することで合意した。

 45カ所のうち9カ所で撤去、36カ所で被覆する。有害物質が環境基準以内だがスラグへの接触リスクの高い4小中学校の被覆工事から着手する方針。市議会では全件撤去を求める意見も出たが、市側は「必要なのは迅速な処理だ」と主張した。【高橋努】

◆2015年12月9日 NHK前橋支局
http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1063949481.html
ー渋川市がスラグ処理の協定案ー

 大手鉄鋼メーカー、大同特殊鋼の群馬県渋川市の工場が有害物質を含む廃棄物の「鉄鋼スラグ」を違法に処理していた疑いがあるとして、強制捜査を受けた事件を受け、工事を発注した渋川市は鉄鋼スラグの処理についてメーカー側と取り交わす協定案を明らかにしました。
 大手鉄鋼メーカー、大同特殊鋼の「鉄鋼スラグ」は、県内の公共工事で使われ、一部からは環境基準を超える六価クロムなどが検出されました。
 警察は、大同特殊鋼が許可を持たない取り引き業者に廃棄物である「鉄鋼スラグ」の処理を依頼していたなどとして、ことし9月、廃棄物処理法違反の疑いで工場の強制捜査をしました。
 これを受け、工事を発注した国と県、それに渋川市は撤去などにかかる処理費用を大同特殊鋼側に全額請求していくことを決めていますが、渋川市は9日、大同特殊鋼側と取り交わす協定案を市議会の全員協議会に明らかにしました。
 それによりますと、鉄鋼スラグが環境基準を上回っている場合は、撤去や表面を覆う工事を行い、環境基準を下回っていても学校の場合は、表面を覆う工事をすることし、工事ごとに大同特殊鋼と協議することが盛り込まれています。
 渋川市では、できるだけ早く鉄鋼スラグの処理を始めることにしています。