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苫田ダム緊急放流  児島湾の養殖ノリ色落ち対策(岡山県)

 ダムは水だけでなく、上流の山から流れてくる土砂や栄養塩が下流に流れるのを遮り、ダム湖にこれらを貯め込みます。
 中国地方最大のダムとして、国が地元の反対を押しつぶして30余年をかけて2004年に完成させた苫田ダムは、ダムが建設された吉井川が流れ込む児島湾のノリ養殖に深刻な影響を与えてきました。岡山県の要請を受けた国交省中国地方整備局は、ノリの色落ち対策として2月18日から緊急放流を実施するとのニュースが流れています。

 国交省苫田ダム管理所のホームページには、平成18年からこれまでに実施された6回の緊急放流と緊急放流量が掲載されていますが、「ノリ養殖を救った緊急放流」という本末転倒のタイトルがつけられており、苫田ダムが児島湾の生態系へ影響を与えていることは触れていません。

◇国交省中国地方整備局 苫田ダム管理所の公式サイトより
http://www.cgr.mlit.go.jp/tomata/aboutdam2.html

キャプチャ

◆2016年2月18日 毎日新聞岡山版
http://mainichi.jp/articles/20160218/ddl/k33/040/633000c
ー苫田ダム ノリ色落ちで緊急放流 少雨影響できょうから /岡山

 昨年末からの少雨の影響で、県南部の児島湾などで養殖されているノリに色落ち被害が出ており、18日から国直轄の苫田ダム(鏡野町)からの緊急放流が実施される。県が17日、発表した。県水産課は「養殖の危機的状況を緩和するための措置。放流中や放流後の養殖場の塩分分布などを調査し、効果を検証する」としている。

 同課によると、色落ちはノリの生育に必要な栄養塩の不足などが原因で起こる。県内では昨年12月下旬以降、まとまった雨が降っておらず、栄養塩を多く含む川の水が不足し、県南部の各地のノリ養殖場で色落ち被害が発生しているという。

 被害の拡大を懸念した県漁業協同組合連合会が県に要望。これを受け、県は国交省中国地方整備局に緊急放流を要請した。

 同ダムの貯水率は99・3%(16日午前9時現在)。雪解けなどの影響でダムからの放流量は変動するが、今回の緊急措置では18日午前9時から22日の同時刻まで毎秒4立方メートル上乗せして放流するという。【原田悠自】

◆2016年2月17日 山陽新聞
http://www.sanyonews.jp/article/301348

ー18日から苫田ダム緊急放流 岡山県が養殖ノリの色落ち対策ー

 養殖ノリの商品価値が低下する「色落ち」が発生していることから、岡山県は17日、栄養分を含んだ水を海に流すために苫田ダム(同県鏡野町)が18~22日に緊急放流されると発表した。

 通常の放流量に毎秒4トンを上乗せする。吉井川の水位上昇や濁りはほとんどないとしている。

 県水産課によると、下流の漁場周辺では、昨年12月下旬以降にまとまった降雨がないことや、プランクトンの増殖で栄養分が減少。15日の調査で、栄養塩濃度が色落ちの目安とされる値を下回っていたという。

 県漁連からの要望を受けた県が、同ダムを管理する中国地方整備局に放流を要請。水利権者の自治体などからも了承を得た。

 緊急放流は2005年度以降、08、14年度を除いて行っている