2013年1月1日
全国のダムの堆砂量のデータが水源開発問題全国連絡会(略称:水源連)のホームページに掲載されましたので、お知らせします。
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http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2013/01/02ce4114b6b4bcf168b7ac36c5f713d0.pdf
このデータは、水源連が国交省への情報公開請求で入手した平成22年度末の調査結果で、現時点では最新データになります。
たとえば、八ッ場ダム予定地上流の品木ダムは、堆砂容量が39万5千㎥ですが、実際の堆砂量は144万3千㎥と、堆砂容量の三倍以上になっています。品木ダムの総貯水量は166万㎥余ですから、堆砂容量が総貯水量に近づいていることがわかります。これは、品木ダムに流入する草津白根山由来の湯川(利根川水系)が酸性河川であるため、下流に八ッ場ダムを造るために中和事業を行ってきた結果、1965年に完成した品木ダムに大量の土砂と中和生成物が堆積したためです。国土交通省関東地方整備局では、品木ダムの土砂を浚渫し、周辺の処分場に土砂を埋めてきましたが、すでに二つの処分場が満杯になっています。
品木ダムは中和事業に関連しているという特殊事情がありますが、これ以外のダムでも、データを見ると堆砂容量がかなり多いダムがあります。ダム計画では最初から土砂がたまることを計算して100年間の「堆砂容量」を見込んでいますが、わが国の河川は急流で上流が火山性の脆い地質であるケースが多く、想定よりかなり早くに堆砂容量を超えてしまうダムが少なくありません。
ダムの堆砂量は時間がたつにつれて多くなりますので、今後、堆砂の問題は一層深刻になることが予想されます。
八ッ場ダム計画でも100年の堆砂容量を見込んでいるのですが、堆砂容量は他の既存ダムの堆砂状況を見ると過小に見積もられており、当会では実際には50年で八ッ場ダムの利水機能は半分使えなくなってしまうと試算しています。
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八ッ場ダムの堆砂問題
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1482
もっとも八ッ場ダムの受益地とされる首都圏では、現在も水余りの状況である上、完成予定の2020年度以降、急激な人口減少が見込まれていますので、たとえ八ッ場ダムの利水機能が失われても困ることはありません。ただ、堆砂はダムの機能を損なうだけでなく、上流側に洪水被害を及ぼすなどの影響もあり、八ッ場ダムの場合は、浅間山の噴火リスクも考える必要があります。