八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場大橋から水没予定地を眺めていたら・・・

 八ッ場ダム事業では四本の湖面橋が建設されました。下流側から八ッ場大橋、不動大橋、丸岩大橋、めがね橋と名づけられています。
 八ッ場大橋は川原湯と川原畑の水没予定地に聳え立ち、両地区の代替地を結んでいます。

ダムサイト (2) 八ッ場大橋から下流側を望むと、かなたに名勝・吾妻渓谷が望めます。
 渓谷の入り口には、吾妻川に架かる旧国道の橋と廃線になった吾妻線の鉄橋が今も残っています。旧国道の橋は八ッ場大橋と呼ばれていました。その背後のV字谷がダムサイト予定地です。

 6月14日にコンクリート打設開始と報道されました。
 昭和27年の計画浮上から64年。

水没予定地の風景 今日も八ッ場大橋で水没予定地を眺めていたら、ご年配の地元の方々の話し声が聞こえてきました。(写真右=八ッ場大橋より上流側を見下ろす。2016年6月12日)

 「今、(川原湯地区の代替地に間もなくオープンする)老人施設を見てきたよ。」

 (橋から下を眺めながら、)「こんなにいいところなのに、これにみんな気づかないんだよね。(工事で)こんな殺風景になっちゃってさ、今年は水が少ないって大騒ぎしてるから、ダムを作りたい人達は大喜びだろうね・・・」

 故郷を水に沈めたい人などいないのだと思います。

写真下=川原湯地区の水没予定地、上湯原。発掘調査が行われている石川原遺跡の後方に湖面橋の一つ、不動大橋。橋の背後に丸岩と菅峰がかすかに見える。2016年6月12日
上湯原の墓地跡

 人間はいつダムができるか、水がたまるのか事前に知らされますが、水没予定地の生き物達、植物は何も知らされることなく突然命を奪われます。八ッ場ダムの水没予定地に通えば通うほど、その豊かな自然に魅了されます。ダムに沈められてしまうことが残念でなりません。
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