八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

香川県の椛川ダム 打設式 工事が本格化 

 香川県の椛川(かばがわ)ダムでダム本体の打設式があったとの報道がありました。
 香川県では、2013年に竣工した小豆島の新内海(しんうちのみ)ダムに続くダム本体工事です。香川県のダム建設業界にとって新内海ダムに続くダム事業がほしいということで、進められているダムのようです。
 なお、八ッ場ダムの本体工事でも、バケットを使ったコンクリート打設が進められていますが、八ッ場ダム事業では打設式は行われませんでした。
 本来、コンクリート打設は、基礎岩盤の掘削工事が終了してから行われる工事ですが、八ッ場ダム事業では地質の見込み違いにより、掘削工事が予定されていた今春に終わりませんでした。しかも、この遅れをカモフラージュするために、基礎岩盤の掘削工事が続く中、ダム直下の減勢工部のコンクリート打設を6月に開始したことをマスコミに報道させ、工事は順調に進んでいるとアピールしました。
 基礎岩盤の掘削工事が終了したのは9月の後半であり、その後、ようやく堤体部のコンクリート打設が始まったのですが、国交省八ッ場ダム工事事務所は基礎岩盤の掘削工事の終了や堤体部のコンクリート打設開始を発表せず、これらの時期がいつであったのか質問しても答えません。
 ダムに関する情報は、ダム事業者にとって都合の良いことだけが公開されるようです。

◆2016年12月3日 毎日新聞香川版
 http://mainichi.jp/articles/20161203/ddl/k37/010/425000c
ー椛川ダム 打設式 工事が本格化 予備調査開始25年 /香川ー

 高松市塩江町安原上東を流れる香東川支流の椛(かば)川のダム建設現場で2日、ダム本体のコンクリートを初めて流し込む打設式があった。県が整備を進めている椛川ダムは、堤の高さや総貯水容量が県内最大級。民主党政権時に必要性について再検討するという経緯もたどったが、1991年の予備調査開始から25年を経て、本体工事が本格化する。【植松晃一】

 式典は、工事を担当する大成建設(東京都)など3社からなる共同企業体(JV)が実施。JVの関係者や県担当者が見守る中、神事に続き、西川英吉・県高松土木事務所長が「県民の期待を背負っているビッグプロジェクト。安全第一で工事にあたっていただきたい」とあいさつ。その後、小西敏夫・県椛川ダム建設事務所長の合図で、クレーンでつるされたバケットからダム本体下流部の底にあたる部分にコンクリート約2立方メートルが流し込まれた。

 整備事業は1996年度に始まり、ダム本体は2014年度に着工。計画では、堤の高さ約88・5メートル、堤頂部の長さ約265・5メートルで、総貯水容量約1056万立方メートル。ダム湖の面積は約0・38平方キロで、水没する20戸は移転を余儀なくされた。

 洪水調節や水道用水確保などが狙いの多目的ダムで、全国でも珍しい、異常渇水時の緊急水補給機能も県内のダムで初めて持たせる。緊急水は総貯水容量のうち約336万立方メートルで、渇水時にその時点で必要性の高い農業や水道用水などの用途で使われる。

 総事業費は約385億円で、うちダム本体は約189億5400万円。ただ、地滑りしやすい地層が事前の想定以上に存在することが判明しており、県が今年度中を目標に総事業費を改めて算定する。総事業費のうち、水道用水の供給を受ける高松市が厚生労働省の補助金を含め16・1%負担。残りは国土交通省の補助を受ける県が支出する。