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千曲川でのサケの稚魚放流、長野県が再開

 信濃川・千曲川ではサケが宮中取水ダムを遡上するようになりましたが、その上の西大滝ダムまでたどり着くサケはわずかにとどまっています。
 長野県では2000年までの21年間、サケの稚魚の放流事業を行ってきましたが、その後は2007年からNPO法人新潟・水辺の会が企業等の助成金を受けて放流を行ってきました。このたび、長野県が放流事業を再開するそうです。

◆NPO法人 新潟水辺の会のサイト
 http://niigata-mizubenokai.org/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/
 
◆2017年2月24日 信濃毎日新聞
 http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170224/KT170223ATI090009000.php
ー千曲川にサケを 再び稚魚放流へ 県・飯山3市村・県漁連ー

 千曲川へのサケの稚魚放流に向け、県と飯山市、下高井郡野沢温泉村、下水内郡栄村、県漁業協同組合連合会(県漁連)が2017年度、新たに協議会を立ち上げ、18年2、3月ごろにも飯山地方の千曲川に放流する方針を固めたことが23日、分かった。県が関わって県内河川へサケの稚魚を放流するのは、河川環境の改善に向けた象徴として「カムバック・サーモン」を合言葉に県が2000年までの21年間に計約900万匹を放って以来、18年ぶりとなる。

 国や長野、新潟両県などでつくる「西大滝ダム下流水環境調査検討会」が同日、新潟県内で開いた会合で、長野県側が明らかにした。東京電力西大滝ダム(飯山市、野沢温泉村境)付近まで遡上(そじょう)するサケは伸び悩んでおり、放流により原因を突き止めたい考えだ。

 県河川課によると、新たな協議会は今年6月ごろ設置。放流量は毎年「50万?60万匹」程度を想定しており、西大滝ダムの魚道などから放す計画だ。サケは3?5年で育った川に帰ってくるとされることから、まずは5年ほど放流を続ける。

 長野県による放流事業の終了後、千曲川・信濃川流域では07年以降、新潟市のNPO法人「新潟水辺の会」が、企業や団体と協力してサケの稚魚計約190万匹(このうち長野県内では約81万匹)を放流してきた。ただ資金繰りは苦しく、16年に石川県で魚類の特定疾病「レッドマウス病」の発症が確認されたこともあり、同年から長野県内での放流は見送っている。県は、これ以上空白期間を長引かせないためにも、県の負担による放流再開を判断した。

 西大滝ダムから約30キロ下流の信濃川にあるJR東日本宮中取水ダム(新潟県十日町市)では、15年秋に1514匹のサケの遡上を確認。16年も493匹が上ってきた。一方、西大滝ダムではそれぞれ12匹、1匹にとどまっていた。

 長野県などはこれまで、宮中取水ダムに遡上してきたサケの背びれに発信機を付けてその後の行動を確認したり、小型無人機(ドローン)や魚群探知機で滞留状況を調べたりしてきた。ただ西大滝ダムにたどり着くサケがなぜ少ないのかは分かっておらず、原因究明が課題となっている。