八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

利根川・江戸川有識者会議、四カ月ぶりに再開

2013年2月16日

 昨年9月から10月にかけて、国交省関東地方整備局が利根川の河川整備計画を策定するために開いた利根川・江戸川有識者会議は、その後、9回連続で延期されていましたが、政権交代を受けて一昨日、四カ月ぶりに再開されました。
 この会議に関する翌日の記事を転載します

◆2013年2月15日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20130215100580001.html

 -八ツ場ダム 委員反発・議論深まらずー

 八ツ場ダム(長野原町)問題に関係し、国土交通省関東地方整備局は14日、利根川・江戸川有識者会議(座長=宮村忠・関東学院大名誉教授、委員21人)を都内で開いた。

 利根川・江戸川河川整備計画の原案を議題としたが、整備局が有識者会議に諮らずに原案を公表したことなどをダム見直し派の委員が問題視。本格的な議論は持ち越した。

 原案は、70~80年に1度起こりうる洪水に耐えるとし、基準地点(伊勢崎市八斗島)の目標流量を毎秒1万7千トンに設定。他の河川より厳しい値にし、八ツ場ダムの必要性を強調する。

 有識者会議は昨年9月に4年4カ月ぶりに再開したが、同10月中旬に開催して以降開かれないまま、整備局が1月29日に原案を公表した。

 この日は、見直し派委員の大熊孝・新潟大名誉教授(河川工学)が「前回まで目標流量の議論をしていたのに、その後9回も直前に中止し、原案を公表した」と批判。整備局は「開催準備が整わなかった」と釈明した。

 委員21人のうち出席者は11人にとどまり、議論は深まらなかった。

 終了後、宮村座長は「有識者会議は何かを決めるのではない。計画策定は行政判断だ」と発言。一方、整備局は「いただいた意見をもとに、今後について検討する」とし、次回以降の継続議論を示唆した。

 整備局は、原案への関係住民の意見を募集中。公聴会や関係都県知事への意見聴取などを経て正式決定するとしている

 「整備局は横暴だ」。会議後、ダム見直し派の委員の大熊氏と関良基・拓殖大准教授(森林政策学)が抗議の記者会見を開いた。整備局と宮村座長を批判。この日、太田昭宏国交相らに会議のあり方を問う公開質問状を出したという。

 2人は会議が再開された昨年9月に委員に加わった。21人のうち八ツ場ダムに明確に反対なのは2人を含めて数人だけ。

 伊勢崎市八斗島で毎秒1万7千トンとする目標流量を「過大な数値」と主張する。その他の委員の多くは推進派の学者と地方紙幹部で、ほとんど発言がないか欠席だ。

 会見で大熊氏は「議論が打ち切られる危機感をひしひしと感じる」、関氏は「整備計画がないまま八ツ場ダムの本体工事に着手したら、法治国家ではない」と訴えた。

 ダム見直し派の市民団体も批判を強める。34団体でつくる「利根川流域市民委員会」は全委員に要請文を提出。利根川水系全体の整備計画でないことや有識者会議を開かないままの原案公表について、整備局に説明させるよう求めた。(小林誠一)

◆2013年2月15日 朝日新聞社会面
http://p.tl/_hlt

 -八ツ場ダム巡り公開質問書 有識者会議の委員らー 

 八ツ場ダム(群馬県)建設を位置づける河川整備計画の策定を巡り、国土交通省の有識者会議の委員2人が14日、「議論が一方的に打ち切られた」として太田昭宏国交相らに公開質問書を出した。

 ダム見直し派の大熊孝・新潟大学名誉教授と関良基・拓殖大学准教授。会議では、洪水対策の目安となる目標流量について賛否が分かれたままだったが、国交省は1月末、目標流量を従来の方針から変えないまま、利根川本流などの河川整備計画の原案を公表した。

◆2013年2月15日 東京新聞特報面

 -「八ッ場」会議 横暴運営 9回連続中止→「ダム必要」案公表 2委員 国交省に講義 否定的証拠次々 「議論から逃げた」

 八ッ場ダム(群馬県)本体工事着工の条件である利根川水系の河川整備計画策定に向け、国土交通省関東地方整備局が設置した「利根川・江戸川有識者会議」の二委員が十四日、太田昭宏国交相に「会議の運営方法は不誠実」と批判する抗議文を提出した。(小倉貞俊)

 「九回連続で会議を中止にするなど、聞いたことがない。一方的で横暴なやり方だ」。抗議文を出した大熊孝・新潟大名誉教授は関良基・拓殖大准教授とともに開いた記者会見でこう訴えた。
 整備局は、会議が最後に開かれた昨年十月以降、予定していた会議日程を休会にわたってキャンセル。この日、ようやく四カ月ぶりに開催したものの、明確な事情説明や謝罪はしなかった。
 なぜ、整備局は会議を開こうとしなかったのか。関氏は「これ以上、議論をしたくなかったため」とみる。関氏が納得できないのは、ダム建設の根拠となる数値に関して議論が紛糾したままだったにもかかわらず、河川整備計画の原案が一月二十九日になって突然、公表されたことだ。
 原案では、利根川の基準地点(伊勢崎市八斗島町)で洪水時に水を安全に流せる「目標流量」を毎秒一万七千立法㍍と設定。この数字を実現するためには八ッ場ダムの建設が必要との立場を示している。これに対し、大熊氏らはこれまでの議論で整備局の主張する数値を「ダム建設ありきで過大」と批判していた。
 「一万七千については否定的な証拠が出てきており、整備局にとっては議論すれば不利になるだけ。原案ができるまで会議の開催を引き延ばしたのでは」(関氏)
 大熊氏も「八ッ場ダムによる利水は不要で、治水の効果も薄い。完成後の維持管理費も含めて膨大な税金がかかるのに、『ここまで建設してしまったのだから工事を継続する』との主張はおかしい」と話した。

◆2013年2月15日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20130215/CK2013021502000155.html

 -八ッ場ダム 目標流量めぐり激論 国姿勢問う質問書もー

 国土交通省関東地方整備局は十四日、八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の建設計画を盛り込んだ「利根川・江戸川河川整備計画」の原案を一月二十九日に公表してから初めての有識者会議を都内で開催した。

 原案は、利根川の基準地点で洪水時でも水を安全に流す量「目標流量」を毎秒一万七千立方メートルと設定し、八ッ場ダム建設を必要とする根拠とした。

 しかし、目標流量をめぐっては有識者会議の一部の委員から「高すぎる」「根拠が乏しい」と異論が続出。この日も、議論が尽くされない中で関東地方整備局が原案を公表したことに、複数の委員が不満を表明した。

 大熊孝・新潟大名誉教授は「いきなり一万七千を出されても賛同できない」と反発。前回までと同じく、拓殖大の関良基准教授とともに、目標流量の値を妥当とする小池俊雄・東京大大学院教授と激論を交わしたが、かみ合わなかった。

 他方、清水義彦・群馬大大学院教授は「ダム以外の高規格堤防など、お金がかかる事業をきちんと位置付けて議論を」と提案した。

 会議後、大熊名誉教授と関准教授は会見し、有識者会議の進め方を批判する公開質問書を連名で太田昭宏国土交通相らに提出したと発表した。

 同会議は昨年九月、四年ぶりに第五回が開かれ、十月十六日の第七回を最後に途絶えていた。(伊藤弘喜)

◆2013年2月15日 上毛新聞

 -八ッ場ダム 整備計画策定へ有識者会議 原案に反対派批判ー

 利根川の河川整備計画の策定に向けた国土交通省関東地方整備局の有識者会議が14日、都内で開かれた。八ッ場ダム(長野原町)建設を盛り込んだ整備局の計画原案を初めて協議、反対派委員から治水目標や会議の運営方法について批判が相次いだ。次回会議は月内に予定されている。
 原案は八ッ場ダムなどの治水対策で安全に流す目標の流量を毎秒1万7千㌧(基準点・伊勢崎市八斗島町)と設定。これに対し、流量の議論は終わっていないとして一部の委員が反発、ダムを造るための「過大な流量」と指摘した。
 会議は前回会議から4カ月ぶりの開催で、自公政権になってから初めて。民主党政権時に河川整備計画の策定が八ッ場ダム本体着工の条件とされたが、太田昭宏国交相は本体着工について計画の策定に「縛られるものではない」と述べ、民主党政権時の方針を転換する考えを示している。
 一方、委員の大熊孝新潟大名誉教授と関良基拓殖大准教授は同日、目標流量の議論を一方的に打ち切ったとして、太田国交相宛てに有識者会議の運営に関する公開質問状を提出した。会見した関氏は「会議で意見を言ってもまったく反映されない」と批判した。

◆2013年2月15日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20130214-OYT8T01731.htm

 -「河川整備」原案概要説明…八ッ場有識者会議ー

 八ッ場ダム(長野原町)の本体工事着工に向け、国土交通省関東地方整備局は14日、民主党政権下で本体着工の条件とされた利根川水系の河川整備計画策定のための有識者会議を東京都内で開催した。

 同会議の開催は昨年10月以来4か月ぶりで、1月末に計画の原案が公表されてからは初めて。

 会議では、同整備局が原案の概要を説明した。原案は、同整備局が提案してきた伊勢崎市八斗島の基準点の目標流量を毎秒1万7000立方メートルとする案を踏襲。

 今後20~30年間の治水対策として八ッ場ダム建設に加え、堤防や調節池の設置場所や規模が示されている。

 これに対し、ダム批判派とされる委員の大熊孝・新潟大名誉教授は「ここに来ていきなり目標流量1万7000トン(立方メートル)と言われても賛同出来ない」と発言。

 清水義彦・群馬大教授は「(堤防など)河川構造物に期待する機能がきちんと書かれていないと、原案にはならない」と指摘した。

 有識者会議委員の大熊名誉教授と関良基・拓殖大准教授は14日、整備計画策定の進め方と、同会議の運営方法が不誠実として、太田国交相と森北佳昭・同整備局長あてに公開質問書を提出したことを明らかにした。

 質問書では、同会議が昨年10月下旬から今年1月下旬にかけて9回連続で中止となったり、八斗島の基準点の目標流量を巡る議論を打ち切ったりした理由の説明を求めている。

◆2013年2月15日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20130215ddlk10010197000c.html

 -八ッ場ダム建設:治水対策の根拠巡り委員ら異論−−有識者会議 /群馬 ー

 国土交通省関東地方整備局は14日、八ッ場ダム(長野原町)の建設を含む利根川・江戸川河川整備計画の原案を有識者会議に示したが、治水対策の根拠を巡り、委員から異論が相次いだ。

 計画は、有識者や住民、関係自治体の意見を聞いて策定すると定められており、同整備局は会議の再開催を検討している。

 原案では、治水対策の根拠となる利根川の目標流量(伊勢崎市八斗島地点)を毎秒1万7000立方メートルに設定。流域には政治・経済の中枢が集中するとして、他の河川よりも安全水準を高く設定し、70〜80年に1度起こりうる洪水に耐えられるようにした。

 この目標流量を算出したモデルについて、複数の委員が「誤差や不整合性があり、科学性がない」と指摘。これに対し、モデルの検証に携わった委員が「他のモデルでも同じような答えが出たので妥当である」と説明したが折り合わなかった。

 さらにこの日、大熊孝・新潟大名誉教授ら2人の委員が「策定の進め方が不誠実」などと抗議し、太田昭宏国交相宛てに公開質問状を提出した。【奥山はるな】

 ~~~転載終わり~~~

記事で取り上げられいる公開質問状の全文をこちらに掲載しています。

利根川有識者委員有志による公開質問