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渡良瀬川鉱毒根絶同盟会、足尾銅山の「山元調査」  

 わが国の公害運動の原点となった足尾鉱毒の問題は終わっていません。
 1958年(昭和33)には足尾銅山の鉱滓堆積場が決壊して、群馬県毛里田村(現・太田市)を中心に大規模な鉱毒被害が発生しました。3年前にお亡くなりになった板橋明治さんを筆頭代理人とした被害農民達(太田市毛里田地区鉱毒根絶期成同盟会)971名は1972年、(株)古河鉱業(現・古河機械金属株式会社)を相手とし、総理府中央公害審査委員会に提訴。2年後の1974年、調停を成立させ、100年公害と言われたこの事件の加害責任を認めさせました。しかし、鉱滓堆積場の問題は今も続いています。
 板橋さんの遺志を受け継いだ渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会は、足尾の実地調査と古河機械金属への働きかけを続けています。

◆2017年11月8日 毎日新聞群馬版
https://mainichi.jp/articles/20171108/ddl/k10/040/118000c
ー足尾銅山 山元調査 土砂流出防止早く 堆積場の強化要望 渡良瀬川鉱毒根絶同盟会ー 

 「渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会」が毎年秋に実地調査している足尾銅山(栃木県日光市)一帯の「山元調査」が10月31日、会員など約30人が参加して行われた。会員たちは、集中豪雨や大地震による堆積(たいせき)場からの重金属類を含んだ土砂流出防止の対策強化を求めた。中でも、数年来の懸案となっている「有越沢(ありこしざわ)堆積場」の土砂崩壊対策が急務としているが、管理する古河機械金属側は「コストや工事の安全面から検討中」と回答するにとどまった。

今回調査したのは、銅鉱石から銅を抽出した後に残った鉱滓(こうさい)を貯蔵する堆積場の強度や、重金属類を含んだ廃水を中和する浄水施設などの管理・運営状況。古河機械金属足尾事業所の山崎義宏所長らが説明に当たった。  

 同盟会によると、堆積場は14カ所。このうち「源五郎沢堆積場」では1958年に決壊して渡良瀬川下流域の農地が汚染され、2011年の東日本大震災の時にも土砂崩壊が起き、土砂に含まれた鉛が渡良瀬川に流出した。こうした経緯から同盟会は堆積場の強度を重要な調査項目に挙げている。

調査の中で、同盟会が強度への疑問を指摘したのは、現在唯一使われている「簀子橋(すのこばし)堆積場」。強酸性の廃水を中和する「中才浄水場」から輸送される重金属類を含んだ沈殿物と上澄み水をダムでせき止めている。山崎所長は「震度6強クラスにも耐えられる」と強調したが、同盟会側では「内ノ籠断層」の存在を懸念する声もあり、ダム本体の抜本的な強化が必要との考えだ。

 「有越沢堆積場」は、長雨と台風の影響で足場が悪いため実地調査を断念したが、土砂崩壊対策を急ぐよう強く求めた。

 古河側の説明では、支流の庚申(こうしん)川左岸にある「宇都野堆積場」で11月から、庚申川と渡良瀬川の合流点近くの「檜平堆積場」では来年秋以降、それぞれ強度を増す安定化工事に着手する予定という。

 中才浄水場については、廃水を中和するための石灰を投入する設備を、現在の1系統からバックアップ用にもう1系統増やす工事が進行中。山崎所長は「リスク管理として、発電能力も含め、非常時に3日間は対応可能な態勢を整えている」と説明した。

 土砂崩壊を防ぐための安定化対策として実施されている緑化に関しては、増え続けるシカによる食害を受け、予定通りに進んでいない区域もあるという。

 調査を終えた会員たちは「国の指針変更に基づく安定化工事だけでなく、鉱毒被害が起きる前の状態に自然を戻すよう取り組み続けてほしい」と要望。板橋明会長は「『水を守る』という考えで、言うべきことは言い続ける」と話した。【阿相久志】

—転載終わり—

 上記の記事に「同盟会が強度への疑問を指摘した」と書かれている鉱滓ダム「簀子橋堆積場」の写真や動画をこちらのページでご覧いただけます。
https://matome.naver.jp/odai/2139622934544934701
https://www.youtube.com/watch?v=xaCb9fLJseU