八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

厚労省の「新しい水道ビジョン」と矛盾する八ッ場ダム

2013年4月3日

 厚生労働省が3月29日に「新しい水道ビジョン」を発表しました。次のURLでご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002yndb.html
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002yndb-att/2r9852000002yngq.pdf

 「新しい水道ビジョン」で注目すべきところは、人口減少に伴って、水需要が減少していくことを明確に書いていることです。

 厚労省はこのビジョンに沿って、各水道事業者に対して、右肩上がりの架空の水需要予測を行い続けている自治体に是正を求める責務があるはずです。けれども実際は、東京都や佐世保市などの水道事業者が八ッ場ダムや石木ダムなどを前提に行った架空の水需要予測を容認して、ダム等の水道負担金に対して補助金を交付しています。
 掲げるビジョンと実際の施策が逆方向を目指しているのです。

 関連個所を転載します。

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第1章 はじめに

 その一つが、日本の総人口の減少です。統計データによると、日本の総人口は平成22年頃、1億2806万人を最大値として、以後、減少傾向に転じています。

 現在の年齢別の人口構成や出生率の状況を踏まえると、今後の人口の減少傾向は確定的であり、このことは水道にとって給水人口や給水量も減少し続けることを意味します。

 水道ビジョンの改訂までの時代は、水道は拡張を前提に様々な施策を講じてきましたが、これからは、給水人口や給水量の減少を前提に、老朽化施設の更新需要に対応するために様々な施策を講じなければならないという、

 水道関係者が未だ経験したことのない時代が既に到来したといえます。

【11ページ】

4.1 外部環境の変化
4.1.1 人口減少

 日本の人口の推移は、少子化傾向から減少の方向を辿り、2060年には8600万人程度と推計され、3割程度減るものと見込まれています。また、水需要動向も減少傾向と見込まれ、2060年には現在よりも4割程度減少すると推計されています。