2005年10月4日 毎日新聞群馬版より転載
八ッ場ダム建設:県が代替地先行取得へ 水没住民の現地再建図る /群馬
長野原町で計画が進む八ッ場ダム建設で、県は水没住民の移転代替地の一部を事業主体の国土交通省に代わって先行取得する方針を決めた。同ダム事業に関する国の予算が今年度減額されたことに伴う措置で、9月定例県議会に提出した特別会計補正予算案に9億1453万円を盛り込んだ。代替地造成を急ぐことで、住民の地区外移転で危ぶまれる現地再建を早期に実現するのが狙いだ。
県特定ダム対策課などによると、移転代替地はダム建設予定地周辺に約53ヘクタールの造成が予定される。国交省は来年度までに造成面積の大半を買収する予定だったが、今年度予算で代替地の買収費用など計20億円が減額された。
一方で、水没地区の住民は計画当初の約340世帯から既に半数以上が現地再建をあきらめて転出。住民と同省は9月7日に移転代替地の分譲基準について合意し、現在、移転に関する住民の意向調査をしているが、現地再建を希望しない住民が多ければ、現地再建計画自体が破たんする可能性もある。
そのため、県は「住民にいかに地元にとどまってもらうかが緊急の課題。新たな街をつくってもらうためにも短期間の用地買収、代替地造成が必要」と判断し、同省からの要請に応じた。用地取得は県土地開発公社が県からの委託で早ければ12月から実施。用地は来年度以降、同省に売却されるため、事実上県費の負担はないという。【山田泰蔵】