2005年11月3日 毎日新聞群馬版より転載
「八ッ場ダム建設:現地再建希望は39%--水没地区・移転代替地の意向調査」
◇温泉旅館も希望「約半分」--造成計画に変更も
長野原町で計画が進む八ッ場ダムをめぐり、移転代替地の住民意向調査の結果が2日まとまった。水没5地区に居住か営業している341世帯のうち、代替地購入など現地再建を希望するのは134世帯(39%)にとどまることが分かった。購入希望面積も計画の40%にしか過ぎず、移転代替地造成計画の変更も迫られそうだ。
同調査は、国土交通省と水没地区住民が9月7日、移転代替地分譲基準に調印した
ことを受けて、同省が地区外転出者も含めた地元住民や土地所有者ら計514世帯を対象に実施。地元住民でつくる連合交渉委員会に2日夜に示した。
居住・営業する世帯のうち、地区別の代替地購入希望者は▽川原畑17世帯(71%)▽川原湯36世帯(49%)▽横壁19世帯(49%)▽林24世帯(28%)▽長野原35世帯(29%)--だった。代替地を希望しないのは5地区計で182
世帯で半数を超えた(53%)。
計画面積は5地区の宅地や雑種地など合計で54万6100平方メートルだが、希望があったのは約22万平方メートル。計画面積に対する希望面積の割合は横壁地区で100%を超えたが、他地区は21~49%にとどまった。
また、温泉地ゾーンの取得希望は8000平方メートル。温泉旅館は現在ある十数軒のうち現地再建を希望するのは「約半分」(安田吾郎・国交省八ッ場ダム工事事務所長)で、旅館数軒で再スタートを切ることになりそうだ。川原湯地区の豊田治明委員長は「予想通り少ない。再建には新しい人が来て10年、20年、30年とかかる」と述べた。【山田泰蔵】