八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「観光振興と地滑り対策」(上毛新聞)

 ダムを抱える自治体では、一過性の公共事業であるダム建設が終わった後、ダムによる固定資産税が重要な税収となります。けれども、ダムは償却資産であるため、固定資産税は年々減少し、過疎化に悩む町村では、ダム湖観光に生き残りの道を探ることになります。
「『ダムは泉。わき出る清水で、ずっと長くノドを潤し続けたい』と、日本一標高の高いダムを売りに、ダム湖周囲5キロを走るマラソン大会、家族ウオーキング、写真コンテストなど手づくりイベントを計画している。」(毎日新聞3月19日記事、南相木ダムを抱える長野県南相木村、中島村長の言葉より)
 八ッ場ダムと同じ利根川水系の下久保ダム(1968年完成)下流の譲原地区(群馬県藤岡市)では、現在、国直轄の大規模な地滑り対策工事が進められています。国交省はダムとの関係を否定していますが、ダム直下には大きな断層が走っており、長い年月のうちに、断層からダムの水が地下に浸み込み、地下水脈となって地滑りを誘発している可能性を否定できない、という専門家の意見もあります。
 譲原地滑りの対策費は、下久保ダムの建設費用を遥かに上回る379億円。八ッ場ダム予定地は地滑り危険地帯ですが、ダム完成後、地滑り対策という新たな公共事業が必要になる可能性も考える必要がありそうです。

2006年3月21日 上毛新聞より転載
「観光振興と地滑り対策 念願の道路と橋 開通 藤岡・譲原地区」
 国土交通省が藤岡市譲原地区で進めている地滑り対策事業で、工事用道路と下久保橋(仮称)の開通式が18日、下久保橋付近で行われ、工事関係者や地元住民ら八十人が出席した。
 同地区は、一九九一、九二年の集中豪雨で大規模な地滑りが発生。建設省(現国交省)の調査で、面積が約百㌶にも及ぶ大規模な地滑り地区であることが分かった。
 このため、九五年から全国で12番目の直轄地滑り対策事業指定個所となり、これまでに集水井戸や排水トンネルを設置。本年度までに全長2.5キロの工事用道路と橋が完成した。
 国交省や自治体関係者らを招いた式典では、金婚・白金婚を迎える地元の夫婦三組が、くす玉を割って完成を祝った。
 美原二区地域づくり協議会の桜井定男会長は「神流湖から三波石峡へ通じる観光道路としても大切な橋で、地域にとって念願だった」と喜んでいる。