「落札価格急落 たたき合い始まる」(朝日新聞)

 朝日新聞の調査によれば、国交省発注の大型工事をめぐり、ゼネコン大手(鹿島、大成建設、大林組、清水建設)が参加した入札の平均落札率が今年に入って急落しているということです。
  八ッ場ダムの水没予定地では、付帯工事を請け負う業者から「ダム事業には旨みがない」との不満が聞かれます。一方、本体工事の受注は、大手ゼネコンの大成建設との声がもっぱら。
 1982年2月2日の衆院予算委員会において、当時、公明党書記長であった矢野絢也氏が、約10年前に作成されたという談合表をスッパ抜きました。この当時、八ッ場ダムの予定地では激しいダム反対闘争が繰り広げられていましたが、談合表には八ッ場ダムの受注予定業者として、すでに大成建設、前田建設の名前が挙がっています。

2006年4月14日 朝日新聞社会面より転載
「落札価格急落 たたき合い始まる」

 建設業界が本格的な競争の時代に突入した。大手4社による「談合決別」の申し合わせから3カ月。業界ぐるみで高値落札に誘導してきた談合組織は解体に追い込まれた。公共工事の入札で落札率が急落するなか、「10年前から落札業者が決まっている」とされたダムや可動堰(ぜき)などの大型工事でもガチンコ勝負が相次ぐ。政官業の癒着でつくられた岩盤が崩れつつある。

 3月、業界に衝撃が走った。北海道開発局発注の夕張シューパロダムは総事業費1470億円。その一部「堤体建設第1期工事」の入札で、大成建設が筆頭の共同企業体(JV)が23億7千万円の最安値を提示した。

 予定価格の46・6%。大成側は「独自の技術提案に基づき積算した結果」としている。一方、他社の談合担当だった幹部は「たたき合いの結果だ」と語った。

 2月22日に入札があった同ダムの「骨材製造第1期工事」でも、大成、大林組、清水建設を含む5JVが競り合った。最低価格は、大林組筆頭のJVで17億円。予定価格の54・5%だった。国交省はいずれについても低入札価格調査に入ったが、「その金額でも契約の履行は可能」として有効とした。

 ダムや大型可動堰は構想段階から受注調整が始まり、「本命」を決めるのが慣例だった。工事が大規模なうえ、調査や積算だけでも数千万円がかかるためだ。昨年暮れの4社の申し合わせでも「ダムは別途協議」と方針は先送りされたが、その後発覚した防衛施設庁の官製談合事件で、「別途協議」の機会は雲散霧消した。

 1月12日、大阪市北区のホテルに、ゼネコン各社の談合担当者が集まった。恒例の新年会だったが、4社のうち3社が欠席し、事実上の解散式になった。ただ一人、別れのあいさつのため出席した業界の「仕切り役」は「話し合いはやめるが、たたき合いをするわけではない」と共存共栄の精神を強調した。

 だが、その関西でも価格競争が始まっている。仕切り役がいる大手が本命視されていた30億円規模の工事も、3月の入札で準大手のゼネコンJVにもっていかれた。「各社とも背に腹は代えられない、ということだろう」。配置転換された他社の「元談合屋」が語った。

 社団法人「全国建設業協会」の地方組織で、4社を中心に退会する業者が続出している。愛媛県建設業協会では2月、鹿島と大成が退会届を提出。大林組、清水建設、準大手と続き、計50社が3月末までに抜けた。

 神奈川、新潟、愛知、富山、石川の各協会でも4社が退会を申し出て、3月末までに多くが協会を出た。高知では4社や準大手でつくる任意団体が1月末に解散した。各社は、談合決別とは「関係はない」などとしている。だが、4社の首脳の一人は、談合決別の姿勢を示すためとして、退会を指示したことを認めた。

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◆キーワード
〈低入札価格調査〉 入札価格が予定価格を大きく下回った場合、発注者が業者に対し、価格の内訳書などを提出させて適正な施工が可能かどうかを調べる制度。手抜き工事や下請け業者へのしわ寄せを防ぐためとされる。国交省が調査に入る基準は工事によって異なり、予定価格の67~85%の幅で設定される。北海道開発局と地方整備局発注工事で、04年度に調査の対象となったのは529件。全体の3・5%に相当する。