アイヌの聖地を沈めたことで有名な二風谷ダムの記事が新聞に載っていました。
計画中から、建設目的が疑問視されていた二風谷ダム。マイナス面がまた一つクローズアップされた形です。
2006年8月26日 朝日新聞より転載
『二風谷ダム 国、利水権買い取りへ 北海道の負担 実質返還』
北海道平取(びらとり)町の二風谷(にぶたに)ダムの建設費負担を巡り、北海道は自らが持つ同ダムの利水権を、国土交通省に約53億円で売却する方針を固めた。国交省も買い取りに応じる姿勢で、近く正式合意する。国による利水権の買い取りは事実上、建設時の地方負担金の返還にあたり、全国初のケースになる。今後、不要なダムを抱える他の地方自治体の対応に影響する可能性もある。
二風谷ダムは北海道日高地方を流れる沙流川水系にある国直轄の多目的ダム。総工費約740億円で97年に完成した。
北海道は、工業用地として開発された苫小牧東部地区に工業用水を引くため、同ダム建設にあたり204億円を負担した。しかし、景気の低迷で同地区への企業進出が見込めなくなったことから01年に取水を中止。翌年、国交省に対し減価償却費を差し引いた約178億円の返還を求めた。
国交省は「完成後のダムの負担金の返還は困難」と主張し、交渉は難航。しかし、台風による増水に対応するため治水量を増やす必要が生じたとして、道の持つ利水権を治水権として買い取る形で事実上の返還に応じる姿勢に転じ、売買額の交渉を続けていた。
道が希望額と約130億円の開きがありながら合意する背景には、ダムなどの未稼働資産を整理する場合に国が財政支援する制度が今年度末で終わることや、国に返す補助金が減額されたことがある。道幹部は「先延ばしするより、今回の金額でも決着する方がましと判断した」としている。