茨城県議アンケート集計結果ー10/16

茨城県の財政危機と水資源開発に関する県会議員アンケート集計

平成19年10月16日
茨城県の水問題を考える市民連絡会

 平成19年3月、茨城県は「いばらき水のマスタープラン改定」を発表した。そこには計画達成年度の平成32年度には都市用水が46万トン余るとしている。さらに同プランは、現在活用中の地下水など27万トン削減を前提としていることから、実際の水余りは73万トンになることが判明した。一方現在開発中の水源開発の総水量は62万トン。県民負担は起債利息を含め2,000億円。県財政は未曾有の財政危機に陥っていると言われるいま、茨城県議一人一人の見解を訊ねた。
 アンケート集計は以下の通りになった。

■アンケート実施:平成19年9月
■アンケート送付・・・・64通
■アンケート返送・・・・6通
アンケート回答・・・・3通
アンケートへのメッセージ付き無回答・・・・3通
■アンケート返送なし・・・・58通

■アンケートの設問と回答(敬称略)
 回答者:大内久美子(日本共産党)、山中たい子(日本共産党) 川口 浩(民主党)

問1:現在進めている水源開発(霞ヶ浦導水事業、八ッ場ダム、思川開発、湯西川ダム)はすべて必要だと思いますか?
回答:すべて不要・・・・3
   川口 浩:すべて不要で良いはずである。

問2:県は地盤沈下を理由に地下水の削減を進めていますが、沈下はほぼ鎮静したと言われています。今後はどうあるべきと思いますか?
回答:現状の使用量を維持・・・・3
   大内久美子:これまで削減した分も適正に利用すべき。
   川口 浩:現状が問題にならないようにすべきへの理屈のこじつけであると思う。

問3:都市用水の余剰を、用途外の環境用水と危機管理用水に転用することには問題があると思いますか?
回答:問題がある・・・・2  その他・・・・1
   川口 浩:こじつけて帳尻合わせだけの数字のマジックで無意味。

問4:霞ヶ浦導水事業、八ッ場ダムなど前述の水源開発の目的はすべて都市用水でした。
問3の転用は県議会を軽視したものと思いますか?
回答:そう思う・・・・3
   大内久美子:ほとんど論戦していない。議決案件になっていない。

問5:霞ヶ浦導水事業、八ッ場ダムなどの水源開発の県民負担は起債利息を含め2,000億円。1人あたり67,000円にも上ります。この負担をどう思いますか?
回答:撤退してゼロにすべき・・・・3
   川口 浩:水は余っているのに何故投資するのか?そのお金を医療、介護、福祉へ。「生かさず、殺さず」は止めましょう。

問6:茨城県企業局の水道料金は高いと思いますか?
回答:高いと思う・・・・3

問7:現在進めている水源開発から撤退すれば水道料金は下がると思いますか?
回答:下がる・・・・2   分からない・・・・1

問8:現状の県財政を危機的なものと思いますか?
回答:危機的だ・・・・1  厳しいが危機的ではない・・・・2

問9:県財政の危機を招いた一番の原因は何だと思いますか?
  また見直すべきは何と思いますか? お書きください。
  
大内久美子
 財政危機の原因は、1992年のバブル経済が破壊してから国と一体になって、借金を財源に公共事業を増大させたことです。借金は3倍以上になってしましました。とりわけ、常陸那珂港、百里飛行場民間共有化、霞ヶ浦導水、ダムの建設など、浪費型の大型公共事業の見直しが必要です。
 企業を呼び込むための「陸・海・空のネットワーク」を重点的に取り組んでいる県政は反省がありません。700haも工業団地が売れ残り、住宅公社の破綻など、開発行政は行き詰まり、破綻していることを認め、方向を転換させなければならないと思います。

山中たい子
 90年代の政府の経済政策にのり、借金(県債の発行)をしながら大型公共事業を推進してきたためです。その結果、県債残高は1兆7千億円にまでふくらみ、売れ残りの工業団地は700haもあります。ところが県は、百里飛行場建設など、新たな公共事業を進めています。財政が危機的といいながら、大型開発をやめようとせず、県民への増税や負担増、サービスの切捨てで乗り切ろうとしています。見直すべきは大型開発です。

川口 浩
①無駄なお金は使わない⇒議員の怠慢。
②コストパフォーマンスを重視すべき⇒センスのなさ。計算間違い。
③ヒモつき補助金制度の廃止⇒事業の押し付けを断る勇気。
④失敗を認めること。あやまる勇気。
⑤事業のための事業は庶民に負担だけを増やす事に気が付いているはずだから・・・。

■回答できない理由のメッセージ(敬称略)
 
加倉井昭喜(自由民主党)
本件は、係争中の課題でもありますので、現時点での回答は控えさせていただきます。

伊沢勝徳(自由民主党)
1都5県で係争中のため回答は控えさせて頂きます。

森田悦男(自由民主党)
前略、ご苦労さまでございます。さて本件は、現在1都5県において係争中の為、支
し障りを考え、返答を控えさせていただきます。草々

■無回答・返信なし(敬称略)
 自由民主党
 海野 透、磯崎久喜雄、錦織孝一、小川一成、藤島正孝、横山忠市、田山東湖、
大高伸一、荻津和良、石川多聞、常井洋治、黒部博英、関 宗長、澤畠俊光、
石井邦一、西條昌良、石田 進、本澤 徹、細谷典幸、葉梨 衛、桜井富夫、
狩野平左衛門岳也、鈴木亮寛、白田信夫、飯野重男、粕田良一、小林靖男、高橋 靖、舘 静馬、福地源一郎、菊池敏行、鈴木せつ子、新井 昇、田所嘉徳、中山一生、
飯塚秋男、武藤 均、小田木真代、鈴木徳穂、小池 忠、鶴岡正彦、山口武平、
山岡恒夫、飯岡英之、飯泉 淳

 自民県政クラブ
 半村 登、江田隆記、臼井平八郎、長谷川典子、

 民主党
 佐々木忠男、佐藤光雄、長谷川修平、今 一男、青山大人、

 公明党
 高崎 進、井手義弘、足立寛作、田村佳子

「茨城県の財政危機と水資源開発に関する県議会議員アンケートを省みて」
茨城県の水問題を考える市民連絡会事務局 神 原 禮 二

 県民の問いかけを“黙殺”した58人の県議。
県議会議員へのアンケートは予想通りの結果に終わった。設問に回答を寄せた議員は3人。陸海空の大型開発を反対してきた日本共産党の大内久美子議員、山中たい子議員と、民主党でただ一人八ッ場ダムの反対を表明している川口浩議員だった。その他の議員はすべて無回答であった。真正面から私たちの問いかけに答えられた3人の議員に感謝申し上げたい。
「本件は係争中のものゆえ、回答を控えさせていただきたい」と、回答しない理由を送ってきた議員は、自由民主党所属の3人の議員だけであった。党としての無言の拘束が予想されるだけに、その誠実さに感謝したい。
 残る58人の県会議員は“黙殺”したつもりだろうと推察する。
私たちはアンケートの依頼にあたって、多忙中の依頼を詫び、その趣旨を説明し、切手を貼った返信用封筒を同封した。80円程度の通信費は、政務調査費で処理するのか、話題の事務所経費で処理するのかは不明にして知らないが、依頼した側の「礼儀」として負担した。しかるに返信すらできぬということは、茨城県議という職は、私たちの想像をこえて多忙ということなのだろう。

 回答された3議員は「水源開発はすべて不要」で一致。
大内、山中、川口の3議員は所属会派の違いからか微妙に違いはあるものの、「水源開発はすべて不要」「開発事業費は撤退してゼロにすべき」など基本的な問いには、すべて一致した回答だった。
 わずかに3人、という声が当然あるだろう。だが回答者の100%が「県の水行政」にNOを示した事実は重い。県議会が“行政府化”してしまったこの県にあっては、わずか3人だからこそ、その勇気と良心の持つ意味は大きい。

 “黙殺”は県議の責任放棄でしかない。
アンケートを“黙殺”した県議たちは「これは極少数の特殊な人たちの声」と、核心をずらし、事態の矮小化をはかったことは推測するまでもない。だが、アンケートで問いかけた事柄は、県議という職を誠実に考えたなら、とても“肩透かし”できる問題ではないはずだ。水需要予測も、水源開発も、すべてが執行部の提案を議会が承認して施行されたものだからだ。県の財政危機はそのために惹き起こされたとも言える。
 私たちはいま、政策成立時の責任を問うつもりはない。当時妥当と判断したものも、時がたち事態が変わることにより、誤りが明らかになることもあるだろう。それが長期にわたる計画や事業ならばなおのことだ。問われるのは行政をチェックする県議の職責を全うするか否かだ。明らかに誤りと分かった政策は、議会で執行部の責任を問い、正して欲しい。県民の声を矮小化せず真摯に受け止め、自らの見解を明らかにして欲しいのだ。

 「係争中だから・・・」で済むのだろうか。
3人の県議の言われる係争中のものとは「八ッ場ダム住民訴訟」を指しているのだろう。だが今回のアンケートは八ッ場ダムについて問うてはいない。問いかけの主体は、アンケートの趣旨にあるように、①本年3月、県が発表した「いばらき水のマスタープラン改定」で結果的に県が水余りを認めたこと。②水余りの水量が現在開発中の水源開発の水量を上回ること。③その県民負担は2000億円に上るが、一方で県財政は未曾有の危機にあることだ。
 これらは裁判に関係なく県が抱える重要な問題であり、解決は喫緊の課題であるはずだ。なおかつこれらの問題は県議会で承認されたものゆえ、議員には当事者責任が伴っている。「係争中・・・」などと言わず、当事者として見解を述べていただきたかった。
 残念ながら無回答は“黙殺”同様、結果として行政を擁護するものでしかない。

 都市用水の用途変更の黙認は、県議会の存在を自ら否定することだ。
 アンケートでは、都市用水の余剰を、環境用水と危機管理用水に用途変更した行政のあり方も問うている。県が水源開発に参加する際には、用途を定め議会の承認をもって為されてきたはずだ。しかるに行政は議会の存在を無視して勝手に変更してしまった。三権の一つの柱である議会は何故黙認するのだろうか。県議会の最大の役割は行政の監視ではないのだろうか。議会の権威と尊厳はどうしたのだろうか。県議会が行政という一方の権力にひれ伏してしまえば、民主主義は根底から覆ってしまう。もはや黙殺したり、第三者を決め込む事態ではない。議員ひとりひとりの見識を披露していただきたかった。

 おわりに
 今回のアンケート結果は、見方によれば惨憺たるものとも言える。「それ見たことか」と喝采をあげた人も居るかもしれない。だが、私たちの目的は「茨城県民は今日の事態を危機感をもって見ている」ということを、県会議員ひとりひとりに理解してもらうことだった。その意味では実施できたことで成果あり、と思っている。
 何時からか政治は応援合戦になってしまった。茨城県の場合、県議会の与党は知事の応援団になっている。戦後、執行部提案の否決ゼロ。継続審議も稀なこと。という事実が何よりの証拠だ。悲しいことだが、茨城県の民主主義は一度も日の目を見ずに闇の中にある。いかに保守王国とはいえ異常としか言えないだろう。
 茨城県の民意はどこにあるのだろうか。県議会の与野党63対2は実態を表しているだろうか(現在は長谷川大紋氏が参院に転じたため与党は62)。先の知事選は自民、民主、公明推薦の橋本氏と共産党推薦の間宮氏の一騎打ちであった。その時の間宮氏の得票率は27.2%。県議会の議席に置き換えれば17~18議席に相当する。茨城県の共産党アレルギーを考えれば驚くべき知事批判票といえる。仮に民主党が中央とのネジレを解消して3党の選挙であったならば、橋本氏が勝ったにしてもかなり拮抗した勝負になっていたはずだ。
 いずれにしても、現在の体制は選挙という民主的な手続きで選ばれたものゆえ、その責任はかかって県民の側にあるのだが、歪みは歪みとして認識してゆくべきだと思う。
 私たちはこれからも声を上げてゆく。それが民意を歪めてしまった茨城県民の責任だからだ。