「八ッ場バイパス工事現場 崩落土砂を半年間放置」(毎日新聞)

2008年5月31日 毎日新聞群馬版より転載
「八ッ場ダム建設:バイパス工事現場、崩落土砂を半年間放置 地質調査てまどる」

 ◇「安全性に問題」の声も
 長野原町の八ッ場ダム建設に伴う国道145号の付け替え道路(八ッ場バイパス)工事現場で、昨年12月にのり面の土砂が2カ所崩落したまま、半年間にわたり放置されていることが30日、分かった。国土交通省八ッ場ダム工事事務所は「地質が想定以上に悪かった」と説明、6月にも修復工事を始める方針だが、関係者からは「安全性に目をつぶって工事を進めた結果だ。工事全体を見直す段階に来ている」との指摘も上がっている。

 崩落したのは川原畑地区の付け替え道路工事現場。昨年12月9日朝、道路脇ののり面の土砂が高さ21メートル、幅30メートルにわたって崩れ落ちているのを作業員が発見。さらに同月25日朝には西に約500メートルの場所で高さ24メートル、幅20メートルの土砂が崩落していた。いずれもけが人はなかった。2次崩落を防ぐためシートで覆って保全、今も修復工事は始まっていない。

 同工事事務所は「地質が悪いのは分かっていた。万全を期したつもりだったが、想定以上に地中の割れ目が多く、抑えがきかない状態だった」と説明。道路工事の完成や本体工事着工時期に影響はないとしている。修復が遅れている理由については「再度、地質調査を行って、対策をまとめていた」としており、6月にも修復作業にとりかかり、道路工事も再開するという。

 同ダム建設見直しを求めている「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「半年間も放置状態が続いたのは、そもそも安全性に問題がある地質だったためで、今後も難航するはず。同様の理由で工事が遅れている場所は他にもある」と指摘。工事全体の見直しが必要と主張している。

 付け替え道路工事では、崩落があった前後の昨年12月18日、東吾妻町松谷の国道145号トンネル内で、作業員の男性(当時54歳)が岩石の下敷きになって死亡する事故が起きている。同工事は昨年10月時点で進ちょく率51%。来年度末までに一部2車線で開通する予定。【伊澤拓也】