八ッ場ダム及び周辺地盤の強度に関する内閣答弁

 岩手・宮城内陸地震におけるダム湖周辺の大規模地すべり災害を受け、富岡由紀夫参院議員が八ッ場ダム予定地の地質について質問主意書を提出しました。質問主意書と内閣答弁を転載します。

八ッ場ダム及び周辺地盤の強度に関する質問主意書  
平成二十年六月十九日
富岡由紀夫   参議院議長 江田五月殿

 先日十四日に発生し、大被害をもたらした岩手・宮城内陸地震は、マグニチュード七・二、最大震度が六強と阪神・淡路大震災と同等の地震といわれている。報道等で映し出された被災現場を見ると、茶色い山肌がむき出しとなり、地形が変わるほど崩落した場所がある。今回の岩手・宮城内陸地震による被害を見ると、周辺の地形的条件において建設予定の八ッ場ダムについて不安を覚えざるを得ない。
 よって、以下のとおり質問する。

一 岩手・宮城内陸地震の震源付近は、栗駒山をはじめ火山が多く、噴火による火山灰などが堆積した崩れやすい地盤といわれている。八ッ場ダムの建設箇所も全国的に有名な草津温泉をはじめ、多くの温泉地が周辺に存在することからもわかるように、白根山をはじめとした多くの火山が控え、地盤も弱いといわれている。八ッ場ダム周辺の地盤強度はどの程度なのか。今回と同程度の地震に耐えられるのか。

二 荒砥沢ダム上流部で山をえぐるような大規模地滑りが発生し、道路が寸断するなどの災害が生じているが、ダムに水をためたことにより、地下水位が上昇し、高速の地滑りが起きたのではないかという専門家の意見がある。岩手・宮城内陸地震は、三十年以内における地震の発生確率は極めて低いと予想されていた地域であったにもかかわらず、大地震が発生したように、八ッ場ダムも同様の地震が発生しない保証はどこにもない。そこで完成後の八ッ場ダムにおいて、今回と同程度の規模の地震が発生した場合、八ッ場ダム周辺の代替地に移転する住民に今回の様な被害が発生しない保証はあるのか。また、八ッ場ダム周辺において地滑りが発生しない保証はあるのか、併せて明らかにされたい。

三 同様に今回と同程度の地震が完成後の八ッ場ダムにおいて発生した場合、ダム本体が損壊する可能性は無いのか。また、ダム決壊の可能性は無いのか、併せて明らかにされたい。
 右質問する。

内閣参質一六十九第一八〇号 平成二十年六月二十四日
内閣総理大臣 福田康夫
参議院議長 江田五月殿

参議院議員富岡由紀夫君提出八ッ場ダム及び周辺地盤の強度に関する質問に対する答弁書

一から三までについて
 お尋ねの「地盤強度」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所が平成十七年度から実施している現在のダムサイトの予定地における横杭調査の結果等を基に、平成十九年九月に開催された「第八回八ッ場ダム・湯西川ダムコスト縮減技術委員会」において、ダムサイトの設計剪断強度に関していただいた覚書を踏まえ、国土交通省は、ダムサイトの予定地の岩盤について、河川管理施設等構造令施行規則(昭和五十一年建設省令第十三号)第九条第一項の剪断摩擦抵抗力が同条第二項ロの式を満たすことを確認していることから、ダムサイトの予定地の地盤は、ダム堤体から伝達される荷量を支え得る十分な強度を有しているものと考えており、ダムを建設する上で問題ないと認識している。
 平成二十年六月に発生した平成二十年岩手・宮城内陸地震(以下「岩手・宮城内陸地震」という。)については、現時点においてその発生メカニズムが十分に解明されていないことから、同地震と同程度の地震が発生した場合における八ッ場ダム建設事業に伴う代替地の被害、八ッ場ダム周辺の地滑りの発生及び八ッ場ダムの損壊や決壊の可能性について、お答えることは困難である。
 なお、岩手・宮城内陸地震により、震源地の近傍に所在するダムにおいて、堤体天端部に亀裂が発生するなどの変形が生じた事例があったものの、ダムの安全性に大きな問題となるような事例は、現時点では確認されていない。