生活再建、地域整備について群馬県に公開質問

 公共事業としての八ッ場ダムのあり方をめぐって、「ダム推進」「見直し」の議論が沸騰してきました。「ダム推進」の理由として必ずといっていいほど挙げられるのが、「長年犠牲を強いられてきた水没予定地の住民の生活再建を進め、地域を整備するために、ダム事業を止めるわけにはいかない」という意見です。
 では、ダム事業の中で進められてきた「生活再建事業」や「地域整備事業」の実態はどのようなものなのでしょうか? 
 八ッ場あしたの会では、このほど群馬県に対して、以下の公開質問書を提出しました。

2008年7月1日

群馬県知事 大澤 正明 様    八ッ場あしたの会(代表世話人 野田知佑ほか)
      
八ッ場ダムの水源対策基金事業および水源地域整備事業に関する公開質問書

 現在、八ッ場ダムに関しては、建設事業のほかに、水源対策基金事業と水源地域整備事業が行われています。これらの事業のうち、前者は関係都県の負担、後者は国と関係都県の負担のもとに群馬県によって進められています。
 この二事業についての疑問点をまとめて下記のとおり質問しますので、文書でお答えくださるようお願いします。質問の項目はいずれも、地元の今後を考える上で重要なことですので、真摯にお答えください。
 ご回答を7月15日までにお送りくださるようお願いします。
 

1 八ッ場ダム基金事業(水源対策基金事業)
1―1 基金事業の全体計画については群馬県が当初作成した総額249億円の案があります。この案は現在どのような位置づけがされているのでしょうか。

1―2 現在までに、基金事業の全体計画は策定されたのでしょうか。もし策定されていればその内容を、もしなければ、策定されなかった理由を明らかにしてください。

1―3 八ッ場ダム基金事業は地元住民の生活再建に関して重要な役割を担うものです。もし全体計画が策定されていないならば、全体計画策定の今後の見通しを明らかにしてください。

1―4 八ッ場ダム基金事業については、1都5県の各地方裁判所で八ッ場ダム住民訴訟が始まってから、関係都県の協力が得られなくなったという話が群馬県によってダム予定地住民に語られていると聞きます。この話は事実でしょうか。もし事実ならば、それを裏付ける関係都県の会議録を明らかにしてください。また、基金事業のどのような項目の負担について関係都県が異論を唱えているのかも明らかにしてください。
1―5 群馬県が打ち出しつつある地元再建支援策の財源は、この基金事業に求めるのでしょうか。あるいは県単独の負担で行うものなのでしょうか。

1―6 群馬県が当初作成した総額249億円の基金事業全体計画案の内訳は表1のとおりです。各事業項目について現在までの進捗状況と今後の見通しを明らかにして下さい。

2 八ッ場ダム水源地域整備事業
2―1 水源地域整備事業の実施期間は平成22年度までとなっていますが、八ッ場ダム建設事業の工期延長に伴って、平成27年度までに変更されるのでしょうか。

2―2 水源地域整備事業のうち、八ッ場ダム完成まで完了しない事業が出た場合、その事業はダム完成後も続行することは可能なのでしょうか。

2―3 国道145号付替事業費については、現国道の補償分はダム建設事業で負担し、拡幅などのプラス分は水源地域整備事業で負担することになっているのでしょうか。拡幅などのプラス分には地域高規格道路としての4車線化も含まれているのでしょうか。

2―4 本年6月3日の政府答弁書(参議院議員大河原雅子君提出八ッ場ダム建設事業の今後に関する質問に対する答弁書)によれば、国道145号付替事業については4車線化の時期は2車線での供用開始後、交通の状況に応じて検討することとしていますので、4車線化の可能性は非常に小さくなり、少なくともダム完成までの4車線化は困難となりました。しかし、この政府答弁書は4車線分の用地は買収してきていると述べています。4車線分の用地買収は公費の無駄遣いになると批判されても仕方がないと思いますが、これについて群馬県はどのように考えているのでしょうか。

2-5 水源地域整備事業は国費だけでなく、関係都県の負担で成り立っています。国道145号付替事業費のうち、水源地域整備事業が4車線化を前提として負担しているならば、関係都県は実現が事実上困難となった4車線化の分も負担していることになります。このことについて群馬県は関係都県にどのように説明しているのでしょうか。また、関係都県から疑問や事業費負担の見直しを求める意見は出ていないのでしょうか。

2-6 八ッ場ダム水源地域整備計画によれば、事業項目別の事業費の計画は表2のとおりです。各事業項目について現在までの進捗状況と今後の見通しを明らかにしてください。