2009年4月8日
◇朝日新聞群馬版
八ッ場ダムの便益計算批判 市民団体「恣意的」
国土交通省が吾妻渓谷上流部で建設を進める八ッ場ダム(長野原町)について、市民団体「八ッ場あしたの会」は7日、県庁で記者会見し、2月の事業の再評価で国交省関東地方整備局が行った渓谷の景観改善の便益計算を「虚偽ともいえる、ひどく恣意的なもの」と批判した。
あしたの会によると、関東地方整備局の事業評価監視委が事業継続を妥当だと判断した根拠は、ダム建設費用を1とすると効果が3.4になるとの計算だったという。
洪水抑制と景観改善の2点が便益計算の対象で、うち景観改善については08年11月の5日間、同整備局が吾妻渓谷に訪れた観光客を対象にしたアンケートから算出。渓谷の景観改善に向け整備する場合、一人当たり年間いくら払うかを問い、回答の1560円(平均)を、約57万人と想定した年間観光客数で掛け合わせ景観改善の便益とした。
あしたの会は「八ッ場ダムができると渓谷の景観が改善されるかのような記述をする一方、渓谷上流部がダム建設で破壊され、視野も遮られることには一切触れていない」と批判。「観光客数を過大に想定した」などと便益計算そのものを批判した。同整備局は「担当者がいないのでコメントできない」としている。
◇上毛新聞社会面より転載
事業「継続妥当」 評価の根拠批判 八ッ場ダム建設反対の市民団体
国の八ッ場ダム(長野原町)建設事業に反対する市民グループ「八ッ場あしたの会」は七日、県庁で会見し、国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会が二月に建設事業を「継続妥当」と評価した際の根拠とした費用対効果の算出法について「恣意的なやり方」と批判した。
同局は吾妻峡を訪れた観光客へのアンケート調査結果などをもとに、ダム建設に伴う吾妻峡の水量確保で百四十六億円の景観改善効果があると算出。こうした数字から評価が決まった。
これに対し、同会は算出方法について①アンケート調査の際にダム建設のマイナス面に触れていない ②年間観光客を約57万人としたのは明らかに水増しーなどの問題点があると主張。「事実を偽り、ダムによって景観の利益が生まれるかのような結果をまとめるやり方だ」と強調した。
*当日の記者発表資料は、こちらに転載しています。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/news/article.php?storyid=738