茨城判決

2009年7月1日 朝日新聞茨城版より転載
「八ツ場ダム訴訟住民敗訴」

 群馬県長野原町に国が計画する八ツ場ダムの公金差し止めを求めた住民訴訟は、東京、前橋地裁に続き、水戸地裁でも30日、住民側の訴えが退けられた。原告は20回の審理を通じて、県の過大な水の需要を指摘したが、地裁は「需要予測は明らかに不合理とは言えない」として、県の主張を全面的に認める判決を下した。原告団からは「裁判所は人々の声を聞け」と怒りの声が上がった。

 焦点の一つは「水源確保のため、八ツ場ダムは必要か」という点だった。

 県は07年3月、これまでの水需要を下方修正し、新たに「いばらき水のマスタープラン」(新プラン)を発表。その中で、県は20年の利根川水系(水道用水)の1日あたりの最大需要量を約91万2千トンと予測し、不足する水源確保のために八ツ場ダムが必要だ、とした。一方、原告は県の給水人口が今後も増加傾向に転じる可能性はない、と主張していた。

 判決は、県南、西部ではつくばエクスプレス開通や圏央道の整備と照らし合わせ、「将来、新たな開発で人口増加や企業立地により、水需要増加の可能性がある」と認定した。福田敬士・県企画部長は「今後ともダムの早期完成に向け、事業を推進したい」とコメントした。

 水戸地裁301号法廷で原告敗訴の判決が読み上げられると、住民側から落胆の声が漏れた。閉廷後、谷萩陽一弁護団長は「無駄な公共事業を司法の立場からチェックする姿勢は、みじんも感じられない」と抗議声明を発表。広田次男弁護士は、「判決が『無制限な裁量権』を県に認めた」と批判した。原告側は控訴する方針だ。